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サヨナラ押し出しは「海老」? その語源も不思議な米国で流行するネット野球用語を紹介!!


 プロ野球は2月1日、12球団が一斉にキャンプイン。ほどなくして海の向こうのメジャーリーグもキャンプがスタートする。

 いよいよ野球シーズン到来のこの時期だからこそ、米国の野球ファンのなかで流行中のネット野球用語を覚えておこう。

 英語圏のベースボールファンたちがTwitterなどのSNSで盛んに使用しているネットスラング集の後編を紹介する。


#Shrimp

 直訳すると、「海老」。読者の皆さんもなんのこっちゃ、と思われているだろうが、これはサヨナラ押し出し四球を意味するスラングである。 なぜに海老なのか。その理由もまたなんのこっちゃ、である。

 2008年4月3日、フィリーズがナショナルズにサヨナラ押し出し四球で勝利したあと、一人のブロガーが勝利を祝うために海老が「ベニー・ヒルズ」のテーマ曲に合わせて水中でトレッドミルの上を走る動画を投稿した(興味ある方はYouTubeで調べてみてほしい)。

 それが数年をかけて広まり、今では同点の9回以降にホームチームが満塁のチャンスを作ると必ずTwitterのタイムライン上には#ShrimpAlert(日本語訳すると「海老アラート」といったところか)というハッシュタグが必ず出現するようになった。Baseball Twitterの住民はサヨナラ満塁ホームランよりも押し出し四球に興奮するのである。

 昨年はついにMLB.comの公式アカウントもこの#Shrimpというハッシュタグを含んだツイートを投稿するなど、市民権を獲得しつつある。


#BSOHL

 毎年この時期、スプリングトレーニング開始直前から最初の2週間にかけてトレンドになるのがこの単語。Best Shape Of His Lifeの略で、訳すと「人生で最高に体が絞れている」といったところだろうか。

 前年、期待外れに終わったベテランや、ブレイクを期する若手がオフシーズンに激しいトレーニングを積んでキャンプ地に姿を現し、決まってこのセリフを言うことからきている。実際に、このBSOHLの選手たちがそのシーズンに期待を上回る成績を残したのかどうかを検証する記事が書かれるなど、単なる風物詩以上のものとなっている。

 もちろん、「1カ月で5kg落としたよ。BSOHLだね」などという風に、野球と関係ない日々の会話の中で使ってももちろんOK。


#HugWatch

 選手の移籍が活発なメジャーリーグならではの言葉。毎年8月1日(今年から1日延びた)のトレード・デッドライン間際には数十件の駆け込みトレードが成立する。その中のいくつかは試合中に発表されることがある。その際、トレードの当該選手は試合から退き、チームメイトと別れのハグを交わしてから新天地に向かうのだが、当然そのシーンは中継に映し出される。観戦している我々ファンはそれを見て、その選手がトレードされたことを知る、という仕組みだ。かくして#HugWatch、というわけである。

 しかし、ときには選手がトレードに巻き込まれていなくても、例えば太ももの違和感などでベンチに下がる場合もある。その際にも憶測の意味を込めて、半ば冗談で#HugWatchという言葉が使われる。いや、むしろこのパターンのほうが圧倒的に多い。それも含めて、この#HugWatchという言葉は、7月後半の風物詩となっている。

 以上、前・後編合わせて5つのネット野球用語を紹介してきた。皆さんもぜひ覚えて、日々の野球観戦のなかでバシバシ活用してみてはいかがだろうか。


文=山崎和音(やまざき・かずと)
日本プロ野球はもちろん、メジャーリーグや各国の野球の試合を毎日観戦。さらにシーズン中は、高校野球の地方大会などにも足を運ぶ。複数の米ウェブサイトにも寄稿しているほか、海外の野球ファンとの交流も積極的に行っている。

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