2011年、22歳でメジャーデビュー(当時ロッキーズ)。翌年、正捕手に定着すると28本塁打を放ち、打てる捕手としてメジャーに定着した。2011年から2015年の5年間で放った本塁打は71発。ロッキーズの本拠地は標高が高く打球が飛びやすいため、打者有利といわれるが、ロザリオのパワーは別格。軽々と外野スタンド上段に運ぶシーンも多々あった。
2016年にハンファに入団。現在28歳とまだまだ若いが、なぜ韓国球界に渡ったのか? その理由は守備の拙さだった。上記の通り、捕手でメジャーデビューしたものの、パスボールの多さや肩の弱さが問題視され、2015年に一塁にコンバート。ただ、メジャーでは打てる一塁手は掃いて捨てるほど存在する上にちょうど不調が重なり、打撃で上積みできなかったのだ。
しかし、韓国球界では実力上位。2016年に打率.321、33本塁打、120打点を記録すると、2017年も打率.339、37本塁打、111打点をマークした。
MLBでは1601打席で通算打率.273。決して悪い成績ではないが、実は四球が極端に少ないフリースインガー。5年間で73四球しか選んでいない。韓国球界でも早打ちの傾向にあり、2016年は532打席で33四球、90三振。2017年は510打席で50四球、61三振だった。
四球が少ないと聞くとやや不安になるが、今季セ・リーグで本塁打王を獲得したゲレーロ(中日)は510打席で24四球、98三振だった。
阪神では2010年に47本塁打を放ったブラゼルがその年、601打数で25四球、153三振。ロザリオも持ち前の長打力を発揮できれば、三振数には目をつぶることができる。
ただ、近年の阪神はマートンの活躍を機にコンタクト重視の野手の補強を続けてきた。5、6番あたりなら我慢して使えるだろうが、期待されている「阪神の4番」でフロントや首脳陣が我慢できるかは極めて微妙だ。
とはいえ、この年齢で来日する選手としては飛び抜けたメジャー実績を持つ。活躍の可否はベンチの「我慢」がカギを握りそうだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)