重量級の打線で、大量点を狙う。体重が90キロを超す瀬戸口恵大と福間塁は走力を兼ね備えた長距離打者として、クリーンアップを形成。三振はやや多いが、打率は高く、バットに当たればほぼ安打になるほどの強い打球が相手守備陣に襲いかかる。
投手は吉川貴大がほぼ一人で公式戦を投げ抜いた。制球に優れ、公式戦防御率が1点台を記録。冬の練習で球速アップに取り組んでおり、本番ではストレートの威力が増しているはずだ。チームとしては後に続く控え選手の出現が待たれる。
秋季中国大会でベスト4。ただそこでベンチ外だった2年生が現在、急速的に力をつけており、登録メンバーに入れ替わりがあるだろう。秋とはまた違ったチームが見られるかもしれない。
創部2年目で出場を果たしてから5年。秋の中国王者が堂々の選出で甲子園に乗り込む。
今大会の主役の一人に数えられているエースの高田萌生。150キロに迫るストレートは、くるとわかっていても空振りを奪える威力を持つ。これにブレーキのかかったカーブが低めに制球できれば、攻略は一筋縄ではいかない。
打線はレギュラーに7人の左打者を揃える珍しい陣容。緩い内野ゴロを安打にしてしまう走力が、相手守備陣にプレッシャーをかける。
課題は高田以外に、計算できる投手の育成だ。左腕の秋山竜彦は公式戦登板は限られていたが、練習試合では好投を続けた。冬の合間に一段、二段とレベルを上げられれば、チームとして大きな武器を手にできるだろう。
7年ぶりのセンバツ出場となる南陽工業。山崎康浩監督と主将の山崎大輔の父子鷹で頂点を目指す。
攻撃は勝負強い打撃が持ち味の山口勇太が主軸を担う。四死球と犠打を活用して、効率良く得点できることがチームの特徴。秋季中国大会後は機動力の強化を図った。盗塁数を増加させ、得点圏に走者を置くことと、盗塁を意識させることで相手投手の球種を絞りやすくすることが主な狙いだ。
エースは重富将希。伸びのあるストレートと巧みなクイックを武器とし、技術的な一面を見せる。控え投手として、強肩捕手の藤本大輔もマウンドに上がることが予想される。その都度、チーム全体の守備位置が流動的に変わるのもこのチームの名物だ。
真面目な選手が多く、日々の練習も常に勤勉に取り組む。ひたむきさを全面に一致団結して、上位進出を目指す。
センバツ第1回大会を含め、春夏ともに2回ずつの優勝を誇る名門校。昨年の明治神宮大会優勝を果たした実力は本物で、投打ともにまとまりのある好チームだ。
エース右腕・浦大輝(写真)は普段はいい笑顔も、スイッチが入れば人が変わる。最速141キロ以上の威力あるストレートを、大舞台で披露したい。
野手では美濃晃成、米麦圭造らの内野陣をはじめ、外野手の安西翼ら個性派揃い。特に安西は「野球に生かすため」中学時代に取り組んだ陸上短距離においてジュニア五輪出場まで駆け上がったスターダッシュのよさと、直線距離の速さは出色。
元阪急の宮武三郎氏、元巨人監督の水原茂氏、元巨人ヘッドコーチの牧野茂氏ら、蒼々たる先輩たちに届けとばかりに、狙うは全国制覇だ。
今大会のダークホース的存在の明徳義塾。ロースコアで接戦をモノにして、昨秋は四国大会準優勝を果たした。
堅守が自慢で、捕手の古賀優大はプロ注目の逸材候補。二塁送球1.8秒台を常時マークする強い地肩に加え「1年冬に取り組んだ」ステップワークによって、安定した送球も手に入れつつある。大きな課題だったリード面も昨秋には改善の兆し。センバツでのブレイクも十分ある。
大会序盤から勢いに乗って、同校のセンバツ最高成績の4強越えを狙いたい。
昨秋の四国大会はベスト4に進出。前回のセンバツ出場は21世紀枠で出場した。
野手陣には俊足が自慢の1番打者・吉原太朗や、勝負強い吉川周佑、松原頌季らがおり、期待がかかる。
課題といわれる投手力と守備力が、ひと冬超えてどこまでレベルアップしているか。
攻守交代は常に「全力疾走」がモットー。土佐高校伝統のスタイルは、甲子園球場の観客を必ずや味方にするだろう。
文=長嶋英昭(ながしま・ひであき)
東京生まれ、千葉在住。小学校からの友人が、サッカーのU-18日本代表に選出されたことがキッカケで高校時代から学生スポーツにのめり込む。スポーツの現場に足を運びながら、日本各地の観光地を訪れることが最大の生きがい。現在はアマチュアカテゴリーを中心にスポーツ報道の仕事に携わっている。