秋の国体・高校野球が9月27日から、和歌山・紀三井寺球場で開幕する。
甲子園、U-18ワールドカップで輝いた球児のうち3年生は、そのユニフォーム姿を見る最後のチャンス。今年も絶妙な組み合わせが目白押しで、盛り上がること間違いなしだ。
しかし季節がら、悩ましいのが台風直撃。日程を消化できず打ち切り(2008、2010年)、決勝なしの2校優勝(2012年)など、近年は天候に泣かされ続き。さらに、引き分けの場合は抽選で勝者決定と、真剣勝負が醍醐味の高校野球らしからぬアバウトさだが、公開競技ながら開会式とともに唯一入場料が設定されている国体の花形競技でもある。
因縁の対決や、甲子園では実現しなかった好カードが実現するのも国体の魅力。
“ハンカチ・フィーバー”で徹夜組も出たという2006年の兵庫国体は、決勝で早稲田実と駒大苫小牧が再戦。斎藤佑樹が田中将大との投げ合いを1−0で制した。
2012年の岐阜国体では、藤浪晋太郎と森友哉のバッテリーで春夏連覇達成の大阪桐蔭vs春夏準V光星学院の第3ラウンドが初戦で実現。ここでも大阪桐蔭が勝利し、2年生エース松井裕樹の桐光学園との準決勝に駒を進めた。
この年の甲子園で1試合22奪三振の大会記録を樹立した松井は、国体でも2戦連続2ケタ奪三振と、勢いそのままに挑んだが、春夏王者の前に惨敗。三振こそ5つ奪ったものの、7四球にエラーも絡む自滅で、4回6失点の大乱調。同じ2年生の森との勝負は、3塁打を含む2打数2安打1打点の森に軍配。甲子園で実現しなかった注目の対決は、13−0という一方的な結果に終わり、大阪桐蔭が1998年の横浜高校以来となる「三冠」を達成した。
100周年に、新しいスターの誕生。さらにはU-18ワールドカップ初の日本開催と、いつになく盛り上がった一年の締めとして、国体も一役買いそうだ。
大会初日は、第1試合で敦賀気比vs東海大相模と春夏の王者が激突。第3試合では、早稲田実と鳥羽のレジェンド校同士が戦う。
「高野連で各委員立会いのうえ、代理抽選によって決定(非公開)」される国体。参加12校とはいえ、今年も文句のつけようのない組み合わせを提供してくれた。
秋季都大会でもホームランを絶賛量産中の清宮幸太郎。甲子園を去る時には、「生まれ変わってもう1回野球ができるなら、この上級生のみなさんと野球がしたい」と涙したが、生まれ変わらなくてもその舞台はやってきた。