今年も夏の高校野球シーズンがやってきた。南北北海道と沖縄が先んじて開幕、そして7月に入り、多くの地区で熱い戦いが始まっていった。もちろん大会前には、組み合わせ抽選が行われる。甲子園を目指す球児や指導者たちは、その組み合わせに一喜一憂。OBやファンも「今年はどこと当たるのか」とワクワクしながら、トーナメント表でお目当ての高校の名前を探しているころだろう。
ほとんどの地区で組み合わせが決まったところで、注目の地区や対戦カードをまとめた。
青森山田、八戸学院光星、弘前学院聖愛の3強が熾烈な覇権争いを繰り広げている青森。今年の春季大会は以下のような結果となった。
優 勝=弘前学院聖愛
準優勝=八戸学院光星
3 位=青森山田
4 位=青森
今夏の青森大会の組み合わせを見ると、順当に勝ち上がれば八戸学院光星と青森山田が準決勝で当たることになる。
八戸学院光星のブロックには、実績で一歩抜けており、エースが195センチという長身右腕・内沢航大を擁する八戸工大一が入っている。2014春夏、2015春と3季連続で甲子園に出場している八戸学院光星だが、少々きついブロックという印象だ。
春季東北大会で優勝し、6年ぶりの夏の甲子園を目指す青森山田。2013夏に出場した際の1年生が3年生となりチームを引っ張る弘前学院聖愛、とハイレベルな大会になること間違いなし。もちろん昨年、青森山田を破って決勝に進出した青森も虎視眈々と甲子園出場を狙っている。気が抜けない展開になりそうだ。
この上位5校を切り裂いて第三局の出現はあるのか? 今年の青森も3強を中心に注目していきたい。
6月26日に行われた大阪大会の抽選会でまさかの事態が発生した。今春のセンバツでもベスト4に入り、春季大阪大会を制した大阪桐蔭の1回戦の相手がこちらも大阪の強豪・履正社に決まったのだ。
履正社も春季大阪大会で3位に入ったが、大阪は全国で唯一、シード制をとっておらず、会場がどよめく好カードがいきなり実現した。
シード制なしといえども、同ブロックの北地区には今年は89チームが登録しており、このような組み合わせは極めて稀。両チームにとっては調整プランすら変更を余儀なくされる初戦の相手で、大阪王者の行方はさらに混沌としてきそうだ。
全国最注目の初戦は7月19日、舞洲スタジアムで行われる予定だ。
センバツ覇者の敦賀気比が控える福井ではある初戦のカードが注目を集めた。昨年度、合同チームを組んでいた春江工と坂井が、いきなり対戦することになったのだ。
県立高等学校再整備により、坂井は春江工や坂井農などを統合してできた新しい高校。そのため、昨年度は統合する中で唯一野球部のある春江工の2、3年生と、坂井の1年生というメンバー構成で、大会に出場していた。
もともと春江工は、ソフトバンクに2位指名された栗原陵矢を擁し、2013年のセンバツに出場、昨年は春江工・坂井として春季北信越大会ベスト4に入った勢いのある実力校。2015年度は閉校する春江工として最後の大会になるので、春江工の生徒である3年生、坂井の生徒である1、2年生は、それぞれの在籍高校で大会に臨むことになった。
つまり、夏の初戦は、先輩と後輩の真剣勝負となるのだ。
実力十分の先輩たちに坂井が新しい野球を見せつけるのか、春江工が最後の夏に有終の美を飾るのか。地方紙が迷わず食いつくドラマチックな初戦となりそうだ。
なお、両チームは春の坂井奥越地域大会でも対戦。「後輩には負けられない!」と春江工の3年生12人が燃え、3−1で後輩を退けている。
長らく名門・横浜を率いてきた渡辺元智監督の今夏限りでの退任が決まり、「監督を甲子園に!」と燃える横浜ナインだが、その道のりには苦難がありそうだ。
秋季大会では3回戦で慶應義塾に1−8で敗れると、春季大会でも3回戦で桐蔭学園に1−2で惜敗。ベスト16に入れず、シード権を逃してしまった。
そのため、1回戦からのスタート。3試合を勝ち抜いても最初の壁として、4回戦で春の神奈川県大会準優勝の相模原と当たる厳しいブロックだ。
しかし、“激戦区・神奈川”を制するにはすべてに勝たなくてはいけない。選手たちは組み合わせ云々ではなく、「すべて勝つ」と思っていることだろう。
他の地区では、群馬で春季県大会優勝の前橋育英と140キロを投げる投手が3人いる樹徳が初戦でぶつかる。昨夏、今春と連続で甲子園に進んだ静岡の初戦は、全国でも屈指の本格派右腕と呼び声が高い小澤怜史を擁する日大三島と対戦する可能性が高い。また、奈良大会では、ノーシードの智辯学園が1回戦で高田に勝利すると、初戦を迎える天理と対戦することになる。栃木大会の矢板中央対文星芸大付、石川大会の星稜対金沢商という上位校同士の1回戦にも注目したい。特に星稜と金沢商は昨秋の県大会決勝と同カードでもある。
梅雨明け間近、今年も激戦の火蓋が切られる。
(文=落合初春)