2位・巨人につけたゲーム差は17.5。今季の広島は、まさに圧倒的な力で優勝を勝ち取った。チーム打率も防御率もリーグトップ。セの全球団から勝ち越すなど完全勝利と言っていいだろう。
1、2、3番に「タナキクマル」トリオ(田中広輔、菊池涼介、丸佳浩)、中軸には大好きな広島に恩返しをした新井貴浩、そして6番にはMVP級の活躍をした鈴木誠也が控える打線は、他球団の投手からしたら脅威以外の何物でもなかったはず。
前田健太が抜けて苦しくなると思われた投手陣も、フタを開けてみれば野村祐輔が自己最多の16勝をマークして穴埋め。リリーフ陣も盤石であり、誰も彼もが「神っていた」からこそ、この壮大な優勝ストーリーは完成したと言える。
野村、鈴木、菊池ら、ドラフト上位で獲得した選手が見事なまでに活躍中。それだけに、タレントが揃った今年のドラフトで納得のいく指名ができれば、黄金時代を築くことも夢ではない。
そのためにもまずは、次世代のエース候補を捕まえておきたい。また強いていえば左の中継ぎが心もとないので、ここは底上げを図るべきだろう。
野手で優先したい補強ポイントは捕手。今季は38歳の石原慶幸と29歳の會澤翼が併用された。ともに結果は出しているが、チーム的には下からの突き上げもほしい頃……。
先に上げた条件を満たすドラフト有力選手は、エース候補なら田中正義(創価大)と山岡泰輔(東京ガス=写真)、左の中継ぎなら吉越亮人(Honda)、若い捕手であれば九鬼隆平(秀岳館高)が挙がる。
ちなみに山岡は広島・瀬戸内高出身なだけに、選択をしてくるかどうか楽しみだ。
文=森田真悟(もりた・しんご)