今季の阪神タイガースのスローガン「超変革!」が具体的な形となって動き出した。
昨年末、球団は新たなトレーナーを2人採用し、選手のコンディショニングを管理統括するトレーナー部門を、1軍2軍合わせて13人体制で臨むと発表した。
そもそもトレーナーという仕事はどのようなものなのであろうか?
一言でいうと、「選手が最高のコンディションで最高のプレーが出来るようサポートすること」だが、仕事内容は多岐にわたる。
ストレッチ、マッサージ、針、灸からトレーニング指導、ケガの応急処置、リハビリ、そして選手の相談役としてコミュニケーションをとることを心がけ、メンタル面までケアをしている。
最近では様々なデータを管理・分析して、選手の年齢や各部位の筋力などに応じたトレーニングメニューを個人個人に組んでいる。いわゆる“科学的トレーニング”が盛んに行われている。
また、「ゴッドハンド」と呼ばれる、優れた技量を持った名トレーナーも多く存在する。彼らは知識と勘と経験で、選手たちをサポートしてきた。
名トレーナーは選手のこと、特に筋肉の細部に至るまでを知り尽くしている。
元阪神のトレーナーで、“モミの杉田”の愛称で親しまれた杉田由嗣氏は、「金本の鍛え上げられた筋肉は別格だった」と語っている。
金本が連続フルイニング出場を成し遂げられたのは、故障した箇所を念入りにケアし、毎試合グラウンドに送り出してきた杉田氏の功績ともいえる。
また、元西武ライオンズでトレーナーを勤めた、田中博明氏は筋肉のつきかたで、選手のプレースタイルがわかるという。
田中氏は、プロ野球選手の筋肉は総じて太い繊維質で、瞬発力に優れているが、サッカー選手は、筋肉の繊維が細く、持久力に優れているという。
知識、経験、そして手の感触で選手のそのときの状態を把握し、ケアしていく。まさに、ゴッドハンドの極みである。
プロ野球選手の中には、個人で専属トレーナーと契約する選手も多い。桧山進次郎(元阪神)や、和田毅(ソフトバンク)は、ルーキーイヤーからトレーナーの重要性を理解し、若手の将来有望なトレーナーと契約していた。
もちろん、彼らが入団して間もない頃は、トレーナーとしては多くの報酬を期待できない状況だ。しかし桧山や和田の将来性を見据えて、夢を共に抱きながら、選手とともに経験を積み、トレーナー人生を歩んでいたのだ。
プロ野球選手にとって、トレーナーはなくてならないパートナーであることがわかる。
チームトレーナーが選手を全面的にバックアップする体制が整った阪神タイガース。あとは選手たちが、例年以上に甲子園のグラウンドで躍動するだけだ!
文=まろ麻呂
企業コンサルタントに携わった経験を活かし、子供のころから愛してやまない野球を、鋭い視点と深い洞察力で見つめる。「野球をよりわかりやすく、より面白く観るには!」をモットーに、日々書き綴っている。