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《2016ドラフト会心の指名》絵になる熱血漢! 中日5位・藤嶋健人がチームの色を変える


 歓声やどよめきに包まれながら終了した今年のドラフト会議。

 順当な指名、サプライズ指名に沸くなか、ひいき球団の指名選手、ライバル球団の指名選手に、いろいろと思うところがあったのではないだろうか?

 週刊野球太郎では、今週から4週・全8回に渡って、週刊野球太郎編集部とライター陣が、「よくぞ指名した!」と考える「会心の指名選手」を紹介していく特集を連載。

 名づけて「野球太郎ライター大推薦! 俺たちのドラフト会心の指名」。

 第5回となる今回は,ライター落合初春氏による「会心の指名」を以下に紹介したい。

「会心の指名」は中日5位・藤嶋健人


 谷繁元信監督が解任されるなど、御家騒動が続いた中日。チームも最下位に沈み、停滞感が否めないなか、ドラフトで高校野球ファンを「おっ」と言わせる指名があった。5位・藤嶋健人(東邦高)だ。

 投げては最速146キロ、打っては高校通算49発の二刀流。素材としても申し分ないが、藤嶋といえばやはり爆発的な「喜怒哀楽」が持ち味。1年夏に甲子園で初登板を果たしたときから絶叫しまくり、高校3年間、高野連から怒られるんじゃないかというほど、ド派手なガッツポーズを繰り出してきた。


画になる男


 藤嶋はうるさい。とにかく声を出す。中日のベンチは暗いとよく言われるが、そんなことはお構いなしだろう。「俺は野球が楽しいんだ」という思い、生命力が藤嶋にはある。見ているだけで頬が緩んでしまうのだ。

 インターネット上では新井貴浩(広島)の喜怒哀楽シーンが切り取られ、「新井さん画像」として人気を博しているが、藤嶋も切り取りたくなるだけの独特な表現力がある。

 その上、メディアへの話題提供力もすばらしい。ドラフト後、地元テレビ局が学校に来た際には校門の前で堂々と校歌を歌い上げ、山本昌、山崎武司のOB両氏と並んでも笑顔でハキハキと発言。背筋をきりっと伸ばし、次第に新人アナウンサーに見えてきた。それほど堂々としていたのだ。

 新人の話題が毎年恒例の「コメダ珈琲にお出かけ」では大人しすぎる。藤嶋ならよくも悪くも、なにかしでかしてくれるのではないだろうか。

美しい三振


 10月の国体では名勝負も見せた。U-18侍ジャパンでチームメートだった堀瑞輝(広島新庄高→日本ハム1位)との対戦が決まり、前日に両チームが宿泊するホテルで堀と出会うと藤嶋は「ストレート勝負」を申し込んだ。

 対峙した両者は終始笑顔。藤嶋が2安打を放てば、堀も自己最速の150キロ(テレビ局のスピードガン)を叩き出し、己の力を出し尽くした勝負だった。

 停滞した中日の現状を打破するには藤嶋の心が必要なのだ。根性、根性、ド根性。“根性論”に終始したが、かつてのギラギラした中日を取り戻すには、元気印の藤嶋に期待を寄せたくなる。


文=落合初春(おちあい・もとはる)

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