冒頭でも紹介したように、「グリーンリストバンド」の販売がスタートしたのは2008年。今年で販売10年目を迎えた。毎年、売上げの一部が宮崎県にある「プロ野球の森」の植樹活動に充てられている。
2008年は、野球界にとって「環境活動元年」といえる年だった。環境省が推進していた温室効果ガス排出量6%の削減を目指す国民的プロジェクト「チーム・マイナス6%」に賛同すべく、「NPB 2008 Green Baseball Project」を立ち上げたのだ。
この活動内容の詳細については、いまでもNPB公式サイトで見ることができる。大きな柱は「試合時間のマイナス6%」。試合時間を短縮できれば、その分、照明エネルギーなどを抑制することができる、という算段だ。
こうした環境への取り組みは、その後も名前を変えながら随時行われている。2015年には「スタジアムに集まるのがエコ」と題し、8月の1カ月間を「プロ野球クールシェア月間」と命名。球場に集まることで各家庭のエアコン・照明稼働を抑えよう、という運動を実施し、来場者1人につき1円を環境貢献活動のための寄付に充てた。
また、試合時間のスピードアップに関しては、昨シーズンから、従来からあった「スピードアップ賞」がコミッショナー表彰に格上げされるなど、取り組みとしては継続して行われている。
ただ、もったいない印象が否めない。名称が変わったり、毎年継続しての取り組みではなかったりするためか、今ひとつ、野球ファンのなかでも浸透していない印象を受ける。その中にあって、2008年以降、ずっと変わらず続いているのが「グリーンリストバンド」の販売&選手着用なのだ。
といっても、この「グリーンリストバンド」にしても浸透しているとは言いがたい。また、その活動結果ともいえる「プロ野球の森」にしても、どれだけの人が知っているだろうか。もっともっと大きく訴求していく必要がはるはずだ。
NPBとしての取り組みは「グリーンリストバンド」や「プロ野球の森」の植樹活動が中心だが、これ以外にも各球団や選手会、パートナー企業などが独自の環境活動に取り組んでいる。
代表例が、プロ野球選手会のパートナー企業である「兵左衛門」(本社:福井県小浜市)が展開する「アオダモ育成事業」だ。
かつては日本人選手が使うバットの半数以上を占めていた「アオダモ」。だが、成長が遅い、植林をしてこなかった、等の理由により、この10年で供給量が激減。いまでは「メープル」バットが主流に変わっている。
そこで生まれた活動がNPO法人「アオダモ資源育成の会」。折れたバットを回収し、箸や靴べらなどのユニークな製品としてリニューアル。その販売収益の一部が植林活動資金などに還元されている。球団ロゴが入った箸「かっとばし!!」、靴べら「すべりこみ」を愛用している野球ファンも多いだろう。
今後も、7月7日(金)の「クールアースデー」が、ふたたび「グリーンリストバンド」の装着日。また、オールスター・ゲームでは毎年、アオダモの植樹イベントが恒例行事だ。今年のオールスターでの実施はまだ発表されていないが、未来のために継続するものと信じたい。
7月7日(金)クールアースデー
7月13日(木)フレッシュオールスター・ゲーム
7月14日(金)・15日(土)オールスター・ゲーム
10月7日(土)ファーム日本選手権
10月14日(土)・18日(水)クライマックスシリーズ 各ステージ初戦
10月28日(土)・31日(火)日本シリーズ 各球団主催試合初戦
文=オグマナオト