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甲子園出場選手も未出場選手も! 東北から羽ばたく王道コースを歩んだ選手たち

「甲子園活躍型」と「地方大会活躍型」に分けて、王道を進んでプロ入りした選手を紹介していく6月の特集。

 最終回は、東北が生んだ球界のスターを紹介していこう。

チャンスを逃さないのがスターたる所以



 田中将大(ヤンキース)、前田健太(ドジャース)、柳田悠岐(ソフトバンク)、秋山翔吾(西武)など、一大勢力を築いている1998年生まれのプロ野球選手。しかし高卒の野手、とりわけ1軍で活躍しているクラスの選手は多くない。

 しかしそんな中でも、「甲子園活躍型」選手はしっかりと存在している。坂本勇人(巨人)だ。

 光星学院高(現・八戸学院光星高)で、3年時の2006年に行われた春のセンバツに出場。結果的には最初で最後の甲子園、しかも1回戦で敗退してしまったが、坂本自身は3安打猛打賞の輝きを放つ。

 ちなみに1回戦を勝ち上がっていれば、2回戦は斎藤佑樹(日本ハム)を擁する早稲田実業との対戦だっただけに、少々残念ではあった。

 一度きりの甲子園で、しっかりと才能を発揮した坂本。2006年のドラフトで、堂上直倫(当時、愛工大名電高。現・中日)のくじ引きに敗れた巨人から、ハズレ1位指名を受ける。とはいえ山田哲人(ヤクルト)しかり、案外「ハズレ」の方が活躍するのがプロの世界。

 高卒2年目で松井秀喜以来の10代開幕スタメンを果たすと、実力と甘いルックスの相乗効果で、一躍スターダムへ。

聖地でひと目見たかった東北の猛者



 一方で、「88年生まれ」「東北」をキーワードに「地方大会活躍型」選手を探ると、近年では銀次(楽天)の名が挙がる。厳密には早生まれなので坂本の1学年上になるが、今や世代を代表する選手の1人だ。

 岩手で生まれ育ち、高校も盛岡中央高時代に進んだ銀次は、1年時からレギュラーで出場。2年時の秋季東北大会では、8打席連続安打と12打席連続出塁を記録するなど華々しい活躍を見せたものの、準々決勝で山形の羽黒高に敗れてベスト8。

 3年時の夏の岩手大会では、7割を超える打率を叩き出し、「盛岡中央に銀次あり」とその名を轟かせた。

 そして迎えた花巻東との決勝戦でも、4打数4安打の大暴れ。しかし運命のいたずらなのか高校野球の魔物のせいか、当時、捕手を務めていた銀次のパスボールが決勝点となりジ・エンド。3対4という1点差で甲子園を逃すことに……。

 全国の舞台とはついぞ縁がなかったが、高校時代の個の実績は抜群。そのため2005年のドラフトで、地元・東北の球団である楽天が高校生ドラフトの3巡目で指名。それは、楽天が東北出身の高校生を初めてドラフトで獲得した瞬間だった。

 そんな運命にあった銀次が、楽天のスターになるのは、必然だったのかもしれない。


特集の最後に現れた2人の代名詞的選手


 プロになれる人間というのは限られている。ましてやプロで結果を残せる選手など、ほんのひと握りだ。しかしプロでも成功している選手は、どんな場面でも自分で道を切り拓いているように思える。

 一度だけ出場した甲子園で輝き、プロでも先輩の故障で空いたポジションを見事に奪ってみせた坂本。高校時代、舞台を問わず常に打ち続け、さらにプロに入っても楽天初の日本一に貢献し、その座を不動のものにした銀次。

「甲子園活躍型」選手と「地方大会活躍型」選手。これまでに3組の選手たちを紹介してきたが、坂本と銀次に取り上げ、これらの形容詞は彼らのためにあるものだったのではないかという思いがした。

 とはいえ高校野球、そしてプロ野球はこれからもまだまだ続く。それだけに、坂本と銀次以上の「甲子園活躍型」選手と「地方大会活躍型」選手が登場するかもしれない。

 もちろん今年の大会に潜んでいる可能性もあるだけに、普段以上に、地方大会と甲子園の本大会を楽しもうと思う。


文=森田真悟(もりた・しんご)

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