年棒から「1勝」「1セーブ」「1奪三振」「1登板」(以上、投手編)、「1本塁打」「1安打」「1打点」「1盗塁」「1三振」(以上、野手編)の「お値段」を算出した「プロ野球コスパランキング」。
週刊野球太郎の9月の連載特集として行った同企画を元に、コスパランキングのベストナインを選出。さらにこの「お得」な選手たちでチームオーダーを組んでみた。
1(左)高山俊/阪神(23歳・1年目・1500万円)
2(中)桑原将志/DeNA(23歳・5年目・1300万円)
3(遊)茂木栄五郎/楽天(22歳・1年目・1200万円)
4(右)鈴木誠也/広島(22歳・4年目・1700万円)
5(指)原口文仁/阪神(24歳・7年目・480万円)
6(一)細谷圭/ロッテ(28歳・11年目・930万円)
7(二)北条史也/阪神(22歳・4年目・730万円)
8(三)安部友裕/広島(27歳・9年目・1080万円)
9(捕)戸柱恭孝/DeNA(26歳・1年目・950万円)
先発 高梨裕稔/日本ハム(25歳・3年目・830万円)
中継ぎ 小川龍也/中日(25歳・7年目・480万円)
抑え 中崎翔太/広島(24歳・6年目・4200万円)
(コスパランキングは8月28日現在の成績を元に算出、各部門のコスパランキングは9月の週刊野球太郎を参照、年齢は8月28日現在、年俸は推定額)
低年俸で効果的な働きを見せた「良コスパ」な選手たちを集めてオーダーを組んだのがこのラインナップ。当然ながら若くてキャリアも浅い選手が多く、ルーキーの高山俊(阪神)、茂木栄五郎(楽天)、戸柱恭孝(DeNA)だけでなく、3年目ながら新人王資格がある高梨裕稔(日本ハム)ら、今季がブレイクイヤーともいえる選手たちが多い。
一方で、11年目の細谷圭(ロッテ)、9年目の安部友裕(広島)といった中堅どころが、若手と実力者の狭間で生存競争を勝ち抜き存在感を示した。ルーキー、トレード、外国人と、毎年多くの新戦力が加入するなかで、首筋が寒くなったこともあったのではないか。そこを耐え凌ぎ、今季は両選手ともキャリアハイの出場試合数を記録している。
このなかで最も注目すべきは、最低年俸480万円の2選手、原口文仁(阪神)と小川龍也(中日)だろう。
原口は今回の「プロ野球コスパランキング特集」でも何度もピックアップした。1安打あたり、1本塁打あたり、1打点あたりのすべての部門でランキング1位に輝き、「コスパ三冠王」を獲得。12球団一コスパに優れた野手といっても過言ではないだろう。
このオーダーでは捕手として起用してもいいが、打撃に集中してもらうためにも指名打者とした。
小川も今季、大幅に出番を増やしたサウスポーだ。2015年からサイドスローに転向。ワンポイントから回またぎまでこなせる貴重なセットアッパーとしてシーズン終了までに44試合に登板し、チームに貢献している。
このメンバーのなかでは、頭ひとつ抜けて高い年俸(4200万円)なのが中崎翔太(広島)だ。それでも、1セーブあたりのコスパは堂々のランキング1位。クローザーというのは専門職で、それだけにサファテ(ソフトバンク)の5億円を筆頭に、各チームの守護神はおおむね高給取り。中崎の年俸は、今季の安定感を考えれば格安だ。
そして、鈴木誠也(広島)の大活躍も忘れてはならない。セ・リーグの打撃3部門では、打率が2位、本塁打と打点がそれぞれ5位(9月29日時点)。3試合連続で試合を決めるホームランを放つなど勝負強さも光った。今季の推定年俸は2400万円だが、ひとケタ上の2億4000万円だったとしても違和感はない。
指名打者に加えて、投手も先発、中継ぎ、抑えと3人ピックアップ。ざっと眺めても、十分戦えるラインナップとなったのではないか。にもかかわらず、トータルの年俸は1億5380万円。ひとりでこれ以上もらっている選手も少なくないなか、天晴れな面々といっていい。
オフの契約更改では、今季の活躍に加えてベースが安いこともあって、ここで取り上げた全選手が大幅上昇となるはず。来季はさらに数字も伸ばし、良コスパをキープできるかどうか。注目していきたい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)