今季のオープニングカードの対阪神3連戦では、初戦が鶴直人からライトスタンドへ、2戦目が能見篤史から左中間へ、3戦目は藤川球児からバックスクリーンへと、3試合連続ホームランの離れ業。4試合目の対広島戦では二塁打1本で記録は途絶えてしまったが、4試合で打率.563、6打点と打ちまくっている。
開幕からの連続本塁打は、1989年のブーマー(阪急)が記録した5試合連続が最多。次いで1978年のギャレット(広島)の4試合連続、以下3試合連続は1993年の秋山幸二(西武)、高橋由伸(巨人)ら8人となっている。
つまり、ビシエド以前に開幕から3試合連続以上の本塁打を放ったのは10人(10回)。その10人は、さぞ本塁打を量産したかと思いきや、その年に本塁打王になった選手はひとりもいないのだ。
最初に運を使い果たしてしまうのか、それとも、いきなりド派手な活躍を見せたせいでマークがきつくなってしまうのか……。
「バレンティン超えも!?」などと先走っているメディアもあるが、前述の10人のその年の本塁打数は、ブーマーとギャレットの40本が最多。当たり前だが、60本はそう簡単ではない。
チーム本塁打数が2年連続リーグワーストの中日に現われた待望の長距離砲なだけに、ビシエドにかかる期待は大きい。
ただ、他の5球団も手をこまねいているはずもなく、当然、厳しい攻めが増えてくるだろう。そんな対戦相手の包囲網を突破して、本塁打量産態勢をキープできるかどうか。
メジャー時代から、三振多め、四球少なめで、キューバ人らしく積極的なタイプだったビシエド。調子の波も大きめなので、好調時はいいが、不調時にいかに早く立ち直れるかも今後の課題となってきそうだ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)