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細川亨無きソフトバンクの正捕手争い。名乗りを挙げるのは7年目の斐紹&拓也だ!


 細川亨の楽天への移籍が決まり(もともとコーチ就任を打診したものの、細川が現役にこだわり、それを拒否)、未来の捕手の指導者も失ってしまったソフトバンク。

 正捕手争いは、過去の実績からすると鶴岡慎也(15年56試合、16年103試合)と高谷裕亮(15年93試合、16年37試合)がリードしているが、2人とも来季は36歳となるシーズンを迎える。王者として長期政権を続けていくためには、課題と言われ続けている捕手陣の若返りは最優先事項だろう。そこで注目したいのは2010年のドラフト指名された斐紹と拓也の24歳コンビだ。

ドラフト1位も伸び悩む斐紹


 斐紹は習志野高からドラフト1位でソフトバンクに入団。1年目から1軍登録され、将来の正捕手として嘱望されるも6年間で1軍出場数は36試合。

 毎年、シーズン前は期待されるが、気づいたら結局2軍が主戦場となり、今季は2軍で69試合に出場した。

 ただ今季も首脳陣の期待は高く、開幕から攝津正、和田毅が先発のときはバッテリーを組むなど、実戦の場での育成が試みられた。だが、なかなか結果が出ず5月12日に1軍登録を抹消。その後、1軍での出場機会はなかった。


育成から急成長中の拓也


 斐紹と同期の拓也は楊志館高から育成6位で入団(余談だが、この年の育成指名は4位の千賀滉大、5位の牧原大成と活躍している選手が多い)。

 3軍を中心にプレーした拓也は、3年目のオフに支配下登録を勝ち取り、2014年に1軍登録を果たす。

 2014、2015年はいずれも1試合のみの出場だったが、今季は13試合に出場。9月19日のオリックス戦では同点で迎えた延長の場面からマスクを被り、12回1死満塁の大ピンチを強気のリードで無得点に抑えたのが印象的だった。

毎年、捕手をドラフト指名し、競争を煽る


 斐紹と拓也はともに強肩が強みだが、経験がモノを言うリードでベテラン陣に劣ることは仕方ないとしても、それ以上に首脳陣を惹き付けるプレーができなかったため、3番手捕手や2軍の正捕手という役割に甘んじ続けた。

 斐紹と拓也に発破をかける意味もあり、また、さらに下の世代の準備のためにドラフトで捕手を指名することが多い。2013年の育成4位の張本優大(佛教大)は今季途中に支配下登録され、2014年には18Uワールドカップで主将を務めた栗原陵矢(春江工高)をドラフト2位指名。さらに、2015年の3位で谷川原健太(豊橋中央高)を指名し、今年も高校生ナンバーワン捕手との呼び声が高い九鬼隆平(秀岳館高)がドラフト3位で入団した。打力がある選手、肩が強い選手、走れる選手、野球脳を持っている選手……と、それぞれ魅力を持っている選手だ。

 後続たちの成長次第では斐紹も拓也もうかうかしていられない。細川が去り、7シーズン目となる来季こそ最終勝負だ。斐紹は「山下」、拓也は「甲斐拓也」へと登録名を変更する。心機一転し、飛躍のきっかけの1つになれば、というのは監督・コーチやフロントの親心でもあり、本人たちのやる気の現れとも見える。

 V奪回を目指すソフトバンクの2017年。正捕手の座に就くのは若手か、ベテランか?


文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。広告代理業を営みながら、ライター、イベントなどスポーツ関連の仕事もこなす。北海道生まれなのにホークスファン歴40年。今季戦力外になった猪本健太郎が千葉ロッテマリーンズに入団とのこと。ファームで4年連続2ケタ本塁打のパワーを千葉で見せつけて、戦力外にしたソフトバンクを見返してほしい。がんばれ!!

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