神奈川県立横浜平沼高校野球部出身。「野球実況がしたい」と日本テレビに入社したのが、現在はフリーで活躍する羽鳥慎一アナだ。横浜平沼高時代はアンダースローの投手として活躍。3年時には激戦区・神奈川で4回戦まで進んだが、その4回戦で横浜高校の前に敗れている。
ちなみにこのとき、後にプロ野球で首位打者を獲得する鈴木尚典(元横浜)と対戦(鈴木は1年生)。5打数3安打と打たれたものの、2つの三振も奪っている。ただ、この対戦を通して、プロに進む人間とそうではない人間(=自分)との才能の差を痛感したという。
新潟県立新潟高校野球部出身。2年生までは捕手としてプレーし、県ベスト4。3年時から投手に転向し、右の本格派投手として春の県大会でチームを準優勝に導く。だが最後の夏は準々決勝で優勝校の長岡高校に5回コールドで大敗し、甲子園の夢を砕かれた。
大学は東京大学に進学し、東京六大学リーグでプレー。サイドスローに転向し、通算8勝27敗。同校史上初の日米大学野球選手権の代表メンバーに選出される活躍をみせた。
大学卒業後、社会人野球の道をケガのために断念し、NHKに入局。政治部記者を経て、2010〜2015年まで『ニュースウオッチ9』のキャスターを担当。現在は「ニュースウオッチ9番組編集長」として関わっている。
『プロ野球ニュース』の流れを汲む『すぽると!』の後任番組として、フジテレビの夜の顔となるのが平日は『ユアタイム』、土日が「スポーツLIFE HERO’S』。そして、この両番組にかかわる人物こそ、『すぽると!』でメーンパーソナリティも務めた田中大貴アナウンサーだ。
田中アナは兵庫県立小野高校野球部出身。ただ、目を見張る活躍を遂げるのは慶應義塾大学野球部時代だ。4年時にファーストのレギュラーになると、春の東京六大学リーグ戦で明治大学の岡本篤志(現西武)、立教大学の多田野数人(元日本ハム)らから3本塁打を放ち、本塁打王に輝いている。
田中アナの強みは「六大学の慶大卒、松坂世代」という肩書き。CSプロ野球ニュースの人気企画『プロ野球ここだけの話』では「六大学野球×東都大学野球」企画で同世代の和田毅(早稲田大出身)、後藤G武敏(法政大出身)、館山昌平(日本大出身)、江草仁貴(専修大出身)、木佐貫洋(亜細亜大出身)らと軽快なトークを繰り広げた。また、大先輩である慶大OB・高橋由伸とは公私ともに関係は深い。
ここで挙げた3名以外でも、野球部出身者のキャスターは多い。先月で番組を降板したが、日本テレビ系『スッキリ!』のMCを務めた上重聡アナウンサーもPL学園高校野球部出身。あの松坂大輔(現ソフトバンク)と甲子園で投げあった名勝負は、今でも野球ファンの語り種だ。
アナウンサーやキャスターを務める上で、野球部出身であることのメリットはどんなところにあるのか?
大越記者はあるインタビューで、記者として取材対象者と向き合う姿勢において、「バッターとの1対1の真剣勝負を数限りなく積み重ねてきた経験が役立っている」と語っている。
また、富永アナはテレビ朝日のホームページで「アナウンサーは、ひとりでは何も出来ません。カメラ、音声、ディレクター、他にも多くの番組スタッフがいて、そのチームプレーの中で、いかに機能するかが大事なんです」と、チームワークの重要性について言及。この考え方も野球部ならでは、といえる。
何かと難しい話題、深刻なニュースも多い報道・情報番組。それでも、伝えている人間が野球部出身と知れば、興味もグッと沸くのではないだろうか。
文=オグマナオト(おぐま・なおと)