巨人では「ポスト山口鉄也」の1番手に挙がる戸根。パンプアップした身体から繰り出す快速球が武器のサウスポーだ。
ルーキーイヤーの昨季は46試合に投げ、防御率2.88。イニング数に迫る奪三振数(40回2/3、39奪三振)をマークするなど、1年目からブルペン陣に欠かせぬ存在となった。
左投手ゆえ左打者を得意とするように思われるが、戸根の場合は対右打者で真価を発揮。左打者への被打率.239(67打数16安打)に対し、右打者へは同.128(78打数10安打)という数字からも明らかだ。内角直球で懐を抉り、外角へチェンジアップを落とすパターンが出来上がっていたようだ。
投げる度に「ヨシッ!」と声が漏れるほど、気迫のこもった投球を展開する森。さぞかし直球一辺倒なスタイルかと思われるかもしれないが、速球はナチュラルにスライドする“真っスラ”がほとんど。カットボールも併せて、スライド系のボールが軸だ。
一昨年、昨季と入団から2年続けてシーズン50試合以上登板を記録。12球団トップクラスを誇る救援陣の中でも存在感を示してきた。さらに、与四球率が2.06→1.49、奪三振率は7.40→9.85にそれぞれ良化。投球の内容も進化を遂げている。
先だって招集が決まっていた秋吉亮(ヤクルト)を含め、彼らには「中継ぎ専門職」としての期待がかかる。打者一人一殺や、イニング途中からの登板など、難しいシチュエーションでの出番もありそうだ。
昨秋のプレミア12ではリードを守れず、苦しい展開に持ち込まれたことが何試合もあった。敗退が決定した準決勝・韓国戦も、3点リードの9回に逆転を許してしまったのは記憶に新しい。このようなことを未然に防ぐためにも、戸根や森には与えられた仕事を確実に遂行してもらいたい。
文=加賀一輝(かが・いっき)