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日本一気が早い非公式代表選考会『2017年第4回WBC日本代表〜野手編』(野球太郎No.008 P8-11)

 3月10日に『野球太郎No.008〜2014プロ野球&ドラフト候補選手名鑑』が発売された。その巻頭ページでは様々な企画コーナーが行われ、注目すべきプロ野球選手や、今年開催される世代別大会の代表選手を『野球太郎』編集部とライターの独断と偏見が入りつつも、平等な意識を持って選出した。

 実際の雑誌では、選ばれた選手だけが掲載されているが、どのような過程で決まっていったのか、なぜこの選手が選出されているのか、といったところを解決するべく、その選考過程を記事にした。

 5回目の今回は8〜11ページの『2017年第4回WBC日本代表〜野手編』の選考理由や、惜しくも漏れた選手などを紹介する。


■炭谷の動向がカギを握る?

菊地:今回は2017WBCの野手を選んでいきます。まずはキャッチャーの3人から。

キビタ:2017年には阿部慎之助(巨人)が38歳になっています。

持木:キャッチャーは炭谷銀仁朗(西武)でしょう。

キビタ:そうなんだけども、左で長いのが打てる選手が他にいないし、あとはまとめ役で入れておきたい。4番DHかつキャッチャーのバックアップで必要かな。

本木:打てるキャッチャーがいると、チームは確実に強くなります。たとえば森友哉(西武)が正捕手で、阿部がDHだったら、打線は厚くなりますよ。

菊地:いろんな意味で炭谷がカギを握っているような気がします。炭谷がFAで来年に巨人にいって正捕手になれば、阿部がファーストにコンバートされて、森も西武で正捕手になる。そうなったら大きな流れが生まれそうです。

本木:巨人移籍説があるんですか?

菊地:わかりませんけど、ドラフト1位の小林誠司(巨人)が即戦力として厳しければ、FAで炭谷を獲る可能性はあるんじゃないですか。

久保:炭谷に代打を出した後に、試合を落ち着かせるキャッチャーもほしいです。

持木:2013年でいう相川亮二(ヤクルト)のような安心感がほしいってことですね。

キビタ:ブルペンをまとめる役割も兼ねて、その役は嶋基宏(楽天)だと思います。

菊地:森はまだキャッチャーとして未知数ですよね。

キビタ:現時点では炭谷、嶋、阿部かな。

■野手の目玉は柳田!!

菊地:野手は核になる選手を選んで、そこに肉付けしていきたいと思います。2017年の核になる選手には柳田悠岐(ソフトバンク)を選びたいですね。

キビタ:柳田みたいにガンガン打って、ガンガン走って、ガンガン守れる選手は、今後、日本にどれだけ出てくるかわからないですよ。

菊地:野球人気を支えるうえでも、柳田は絶対必要です。将来「柳田を見て、野球を始めた」という子が出てくるんじゃないかな。



キビタ:あとは浅村栄斗(西武)も核になる選手です。

菊地:あとはどこを守らせるか。

持木:世間的には、坂本勇人(巨人)が核になると考える人が多いんじゃないかな。

本木:バッティングのスケールなら、坂本よりも浅村ですよ。それから菊池涼介(広島)も入れておきたい。一発勝負に強そうだから。

持木:このまま順調にいけば、ほぼ当確でしょう。西岡剛(阪神)のようなやんちゃな匂いがします。

キビタ:秋山翔吾(西武)はスタメンでなくても連れていきたい。秋山と長谷川勇也(ソフトバンク)はペナントレース全試合全力疾走なんですよ。執念が持続できる選手なので、期待できます。

菊地:走れる選手はほしいですね。

久保:代走要員なら荻野貴司(ロッテ)がいます。

キビタ:代走専門ではなく、ラインナップに名を連ねるだけの力量が前提ですから…。

本木:だったら西川遥輝(日本ハム)がいいんじゃないですか。西川は去年、変化球の時に走って、一度も失敗していないデータがあるんです。配球を読んで走っているんでしょう。これまでの本多雄一(ソフトバンク)や片岡易之(巨人)のような使い方もできるし、本多、片岡よりも打てます。

菊地:内川聖一(ソフトバンク)はどうですか? 井端弘和(巨人)もそうですけど、右に打てる選手がWBCで結果を残しています。プエルトリコ戦の重盗失敗の悔しさを晴らしてほしいですし。4年越しの物語も含めて、内川には期待したいです。

キビタ:勝負どころで二塁打を打てる右バッターは他にいないからね。

持木:小久保裕紀監督は銀次(楽天)を買っていますよね。

菊地:サードとしてはどうなのかなというのはあります。

久保:制約のある状況で打てる選手を入れておかないと、打線が機能しませんよ。2番・サード・鳥谷敬(阪神)にすれば、打線の流れがよくなると思います。

キビタ:36歳になる鳥谷よりは鈴木大地(ロッテ)の方が……。学生時代から日本代表とは何なのかをわかっているし、どんな役割にもあてはまるから便利ですよ。

■大阪桐蔭打線は却下?

菊地:ポジションと打順を決めて、野手の微調整をしていきます。

本木:ショートとキャッチャーに大物がいると、打線の厚みが違ってきます。

久保:今の巨人の強さは、まさしくそれですよね。

本木: WBCなら、浅村、坂本の二遊間も華があっていいんじゃないですか。

キビタ:なぜか不安が拭えないなぁ。1人は堅実なタイプにしておきたいような……。

持木:菊池涼介だって派手じゃない?

キビタ:菊池涼介のアグレッシブな守備は、また別だから。

菊地:中村剛也(西武)はどうしますか?

キビタ:飛ばないボール時代にあれだけ打ったイメージがあるから、おかわり君は国際大会でも通用するんじゃないかと思ってしまう。

持木:この年まで成績を残していたら、入れる価値はあると思いますよ。ただ限られた人数で、守備位置のことを考えたら……。

本木:ファースト中村剛也はありじゃないですか?

菊地:中田翔(日本ハム)をサードと考えると……。


本木:セカンド浅村で大阪桐蔭打線!

キビタ:ちょっと待って! その内野陣、不安過ぎるよ!

■断腸の思いで長谷川を……

菊地:試合を想定して、ベンチ入りメンバーを絞り込んでいきますか。

キビタ:菊池涼介に代打を出した後のセカンドには鈴木大地。川端慎吾(ヤクルト)は代打要員になります。

本木:阿部、柳田、内川のうち、スタメンで出ない選手が代打に回るから、最初から代打要員を入れる必要はないですよ。

キビタ:これまでの大会を見ていると、「この人は大丈夫」と思われていた選手が調子を崩すこともあるから、そういうときに川端みたいなタイプはありがたいですよ。スタメンも想定して、いてくれると助かります。

菊地:川端をサードにして、中田をレフトにした方が、守りが安定しませんか。でも、今のままだと1人多いですね。誰か落とすとなると、鳥谷ですか。

キビタ:土のグラウンドでの鳥谷の守備力は捨てがたいんだけど……。

菊地:ベテラン枠で鳥谷が入って、チーム一丸になるイメージは湧きません。

本木:むしろ鈴木大地の方が盛り上がる。

キビタ:あとは打順ですね。

菊地:4番は中田ですか?

キビタ:いつまでも阿部が4番だと寂しいかな。

本木:阿部が6番ぐらいにいると、打線の厚みが増します。となると3番浅村ですか?

持木:日本が成長しているところを示したいのなら、柳田がクリーンナップでも。

本木:浅村1番も新鮮ですね。坂本1番は見慣れているから。


菊地:右の選手でスタメンを組むと、右の代打がいなくなります。

持木:普通に考えれば、外野には長野久義(巨人)が必要でしょう。

キビタ:前回は不振でしたけど、守備力や国際経験を考えると、選んでおきたい。

持木:左が多いから、守備力を考えると長谷川あたりが落とされるのかな。

キビタ:今の成績で言ったら「長谷川を外して、柳田かよ!」って話になりますけど、柳田は3年後の売りにしたいから。

持木:断腸の思いで長谷川を外すか。なんで長谷川って、こんなに地味なんだろう? いい選手なのに。

菊地:これでメンバーと打順が決まりました。5番柳田はあくまでも願望ということで。こんな感じでどうでしょう。


日本一気が早い非公式代表選考会
『2017年第4回WBC日本代表〜野手編』


1番・ショート・坂本 勇人(巨人)選手名鑑号186ページ
2番・センター・秋山 翔吾(西武)選手名鑑号67ページ
3番・ファースト・浅村 栄斗(西武)選手名鑑号63ページ
4番・レフト・中田 翔(日本ハム)選手名鑑号163ページ
5番・ライト・柳田 悠岐(ソフトバンク)選手名鑑号115ページ
6番・DH・内川 聖一(ソフトバンク)選手名鑑号113ページ
7番・サード・川端 慎吾(ヤクルト)選手名鑑号313ページ
8番・キャッチャー・炭谷 銀仁朗(西武)選手名鑑号60ページ
9番・セカンド・菊池 涼介(広島)選手名鑑号237ページ

控え選手・捕手

嶋 基宏(楽天)選手名鑑号36ページ
阿部 慎之助(巨人)選手名鑑号183ページ

内野手

西川 遥輝(日本ハム)選手名鑑号164ページ
鈴木 大地(ロッテ)選手名鑑号86ページ

外野手

長野 久義(巨人)選手名鑑号189ページ


<選考メンバー>
『野球太郎』編集部:持木秀仁、菊地高弘
ライター:谷上史朗、キビタキビオ、本木昭宏

選考メンバー・構成=久保弘毅(くぼ・ひろき)/1971年生まれ、奈良県出身。テレビ神奈川アナウンサーとして、神奈川県内の野球を取材、中継していた。現在は社会人野球、神奈川の大学・高校野球やハンドボールを中心にライターとして活躍。ブログ「手の球日記」

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