まずはセ・リーグ。打撃三冠部門のトップ3は以下の面々だ。
■打率
1位:鳥谷敬(阪神) 打率.467
2位:大島洋平(中日) 打率.462
3位:田中広輔(広島) 打率.395
■本塁打
1位:阿部慎之助(巨人) 4本塁打
2位:糸井嘉男(阪神) 3本塁打
3位:エルドレッド(広島)2本塁打
3位:梶谷隆幸(DeNA) 2本塁打
3位:ロペス(DeNA) 2本塁打
3位:北條史也(神) 2本塁打
■打点
1位:阿部慎之助(巨人) 13打点
2位:糸井嘉男(阪神) 10打点
3位:梶谷隆幸(DeNA) 8打点
3位:新井貴浩(広島) 8打点
打率部門トップは、昨年、選手生命を問われかねないほどの大不振を経験した鳥谷敬(阪神)。ルーキーイヤーでさえ.251はあった打率が、キャリアワーストの.236まで落ち込んでしまっただけでなく、守備でも、ゴールデン・グラブ賞4回の名手が信じられないようなエラーを連発。長年、守ってきた遊撃のレギュラーを若手の北條史也に明け渡す事態にまでなった。
今季も、ポジション確保は厳しい状況だったが、「4番・サードで使う」と金本知憲監督が明言していたキャンベルが2月27日の紅白戦で左手首を負傷し、戦線離脱。
その穴埋めとして起用された鳥谷が、開幕から4試合連続マルチを含む全8試合で安打と、完全復活と言っていい結果を残した。この好調をどこまでキープできるか注目だ。
そして本塁打、打点の「二冠王」が阿部慎之助(巨人)だ。昨季は打率こそ.310と4年ぶりの3割超えを果たしたが、ケガもあって開幕に間に合わず、デビュー以来、最も少ない91試合の出場にとどまった。それだけに、今季は心中期するものがあったのではないか。小林誠司の成長もあって、もう捕手復帰の話が浮上することもなさそうだ。
打撃に専念し、どこまで数字を伸ばせるかが、巨人の浮沈を握っていると言っても過言ではない。
ほかでは、別メニューでのキャンプインとなり出遅れが懸念された糸井嘉男(阪神)が開幕からフル回転。大島洋平(中日)もチームは低迷しているものの奮闘している。
一方、パ・リーグの打撃三冠部門のトップ3は以下だ。
■打率
1位:鈴木大地(ロッテ) 打率.464
2位:近藤健介(日本ハム) 打率.429
3位:大谷翔平(日本ハム) 打率.407
■本塁打
1位:内川聖一(ソフトバンク)4本塁打
1位:ロメロ(オリックス) 4本塁打
3位:ペゲーロ(楽天) 3本塁打
3位:茂木栄五郎(楽天) 3本塁打
■打点
1位:ロメロ(オリックス)11打点
2位:ペゲーロ(楽天) 10打点
2位:茂木栄五郎(楽天) 10打点
打率部門のトップは、今季から二塁へのコンバートとなった鈴木大地(ロッテ)。全8試合で毎試合、2本塁打を含む安打を放ち、自身は開幕ダッシュに成功している。ただ、角中勝也、清田育宏、パラデス、ダフィーと、規定打席到達の7人のうち4人が打率1割台と低迷しており、チーム打率も.198。その影響が2勝6敗で5位という低調な結果に表れている。
これは、キャプテンとしては看過できない状況だろう。鈴木が好調をキープすることで、他選手の浮上を促したいところだ。
内川聖一(ソフトバンク)は、打点も上記の順位表には出ていないが4位(8打点)。つまり、内川、ロメロ(オリックス)、ペゲーロ(楽天)、茂木栄五郎(楽天)で本塁打&打点の両部門の上位を占めていることになる。
WBCでも大事な場面できっちり仕事をした内川の姿は印象的だったが、レギュラーシーズンに入ってもその勝負強さは健在だ。
例年のようにオープン戦を重ねて仕上げていく、という過程を経ていないだけに、本人も半信半疑のようだが、数は少ないながらも国際試合でのプレッシャーのきつい打席を重ねたことが、結果的に適度な負荷になったのかもしれない。
ロメロは、オリックス待望の優良助っ人。このまま秋まで打ち続けるようなら2014年のペーニャ以来となる本塁打30本オーバーも期待できる。
そして、茂木とペゲーロがこの部門に名を連ねているあたり、楽天の好調ぶりがわかる。これが1、2番コンビというのだから、今季の楽天は怖い。
文=藤山剣(ふじやま・けん)