2002年秋、自由枠で福岡ダイエーホークス(当時)に入団した和田は、1年目の2003年から先発ローテーションの一角として活躍。14勝5敗の成績で、チームを3年ぶりのリーグ優勝、そして日本一に導き新人王も獲得した。
その後も投手陣の柱として、ホークスを牽引。2010年には17勝を挙げて最多勝とMVPを獲得した。翌年も16勝を挙げ、2003年以来の日本一を達成。9年間で107勝という、堂々たる成績を手土産に、和田はFA宣言して海を渡った。
2011年のホークスは、88勝46敗10分。2位に17.5ゲーム差をつける大差で日本一になったものの、事件はその年のオフに起こった。
・川崎宗則がシアトル・マリナーズへ
・杉内俊哉とデニス・ホールトンが読売ジャイアンツへ
・和田毅のメジャー挑戦
杉内(8勝)、ホールトン(19勝)、和田(16勝)と、チームの勝ち星のおよそ半分となる43勝が消えた。
「ホークスは金で選手をかき集めて…」と、よく言われることがあるが、「同時に3人のエース格の投手を失った経験があるのか」と、他チームのファンには問いたい。
ご存じの通り、2012年はパ・リーグ3位、2013年は4位と、ホークスファンにも2度と経験したくない苦い過去がある。
大リーグに挑戦した投手が元のチームに戻った例は、これまで7人。昨年の黒田博樹(広島)のように期待通りの活躍を見せた投手もいるが、川上憲伸(中日)のように期待ほどの結果を残せない投手も多い。
日本で9シーズン107勝を挙げた和田も、アメリカでは4シーズンで5勝。大手を振って凱旋というほどの成績は残していない。
和田にはメジャーリーグや他の日本球団からもオファーもあったそうだが「ホークスに恩返しをしたい」と、迷わずホークス入りを決めた。まずは確約されていない先発ローテーションに入るため、敵の前に味方投手陣との戦いに挑む。
今年のホークスは、敵地・仙台での東北楽天イーグルスとの3連戦で開幕。工藤公康監督も明言しているように、開幕投手は武田翔太か、リック・バンデンハークに絞られた模様。
また、昨年の実績から中田賢一、攝津正までが先発ローテーション決定と予想される。
楽天との3連戦を終えると、3月29日からヤフオクドームで埼玉西武ライオンズとのホーム開幕2連戦。地元最初のシリーズで、和田毅の5年ぶりの雄姿が見たい!
文=溝手孝司(みぞて・たかし)
札幌在住。ライター、イベント関連など、スポーツ関連の仕事を精力的にこなしている。北海道生まれなのに、ホークスファン歴約40年。1999年ダイエー初Vを福岡ドームで観戦するなど、全国を飛び回りながら、1軍、2軍問わずプロ野球を追いかけている。