【2017夏の高校野球】《福岡観戦ガイド》有望選手と大会展望&地区勢力ピラミッド
今年はまさに「本格派右腕ショーケース」
古賀はここ10年でも指折りの有望野手だ
投手編 〜右本格派の豊作年〜
三浦銀二(福大大濠)は「板東英二(徳島商→中日)級」のスタミナを誇る。延長18回引き分け再試合の規定を作るきっかけとなったのが坂東なら、センバツで延長15回引き分け再試合を含む3試合475球を投げ切った三浦は、投球制限やタイブレーク制を生むきっかけとなるかもしれない。スピンがかかり伸びのある140キロ超のストレート、カーブ、スライダーをテンポよく、自信たっぷりに投げ込む。
140キロ級の本格派右腕に人材が揃う。チームの夏4連覇のキーマン・前田隆盛(九州国際大付)は総合力で三浦に迫る。長身から投げ下ろす“まっスラ”とチェンジアップが武器で、牽制とフィールディングにセンスが感じられる。末廣篤弥(常磐)も素材型。ストレートとスライダーの絶妙な配球で三振がとれる。藤松亮輔(西日本短大付)はズドンと重い球を放り込むパワーピッチャーだ。
いい素質は持っているが、高木渉(真颯館)はケガで投げられず。夏は打者で勝負かもしれない。佐田健介(東海大福岡)と柳原優太(自由ケ丘)も夏の復活に期待したい。横スラのいい右の本格派・中野裕斗(小倉)と右サイド・後藤蓮(三潴)、強気で押すパワーピッチャー・山本翔太(春日)、軽く投げてもノビがある濱田航平(朝倉)と県立勢の速球派も楽しみだ。
ザ・高校野球というべき「勝てる投手」なら、右サイド・安田大将(東海大福岡)。浮き上がるストレートと膝元へのシンカーは、難攻不落だ。吉田龍ノ介(九産大九州)は軟投派で、「九州」の伝統をつむぐ。体幹作りはこれからだが、2年左腕・鬼塚柊(北筑)がお薦め。長身子顔でヒジが柔らかく、腕がしなやかに振れる、と大成する条件満載だ。北筑といえば、今永昇太(DeNA)の母校。先輩超えを目指せ。
野手編 〜見逃せないトップクラス野手〜
古賀悠斗(福大大濠)はここ10年を見渡しても、県ナンバーワン野手といえる。遊撃手として、三塁手後方の位置からノーステップで矢のような送球は、福岡第一時代の陽岱鋼(巨人)級。捕手に転向し、さらにハマった。機敏さは福岡大時代の梅野隆太郎(阪神)級で、捕ってからのスローイングの速さと強肩は比類なき存在だ。
打席でオーラを発散する横尾忠孝(西日本短大付)は左右に豪打を連発する壮大な打撃を見せる。チャンスに強く、重厚な西短打線を牽引する。橋本龍二(真颯館)、藤原悠太郎(筑陽学園)、江口優斗(小倉工)上原賢勇(自由ケ丘)らも含めて、打てる捕手の当たり年でもある。
山脇彰太(九州国際大付)は走攻守揃った外野手。スピードに乗ったプレーで、絵になる選手である。有安晟真(東海大福岡)はチャンスメーカーでもあり、勝負強さもあるチームの顔だ。判断力があり、キャプテンシーの塊である福森秀太(北九州)と牛若丸のごとく華麗な動きの櫻田晃生(真颯館)が遊撃手の双璧をなす。堅守巧打の三野原愛望(東福岡)は1年から強豪校のレギュラーを獲得し、実績十分である。
松井義弥(折尾愛真)と中村宣聖(西日本短大付)の長身2年生コンビに夏ブレイクの予感も。
大会展望 〜「夏将軍」九国の巻き返しはあるか!?〜
「ミスターゼロ」三浦と全国屈指捕手・古賀のバッテリーを擁する福大大濠と夏に滅法強くV3中の九州国際大付の一騎打ちか。投手・佐田が復活したら、東海大福岡にも十分に勝機あり。選手層の厚さなら、重量打線の西日本短大付とポジション毎のピースがいい真颯館も地力がある。バッテリーのいい九産大九州、筑陽学園と総合力の福工大城東が続く。好投手・末廣を擁する常磐が台風の目となるだろう。東筑、小倉工の古豪復活も見逃せない。
野球太郎 No.23
「2017夏の高校野球&ドラフト特集号」
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