課題点は様々あるが、最優先で改善すべき「気になる課題」がある。相手が左投手のときの打撃成績だ。
交流戦で投手が打席に立ったときの数字を除くと、楽天打線の左右投手別の打撃成績は下記の通り。
■対右投手成績
打率.266/出塁率.332/長打率.427/OPS.759
■対左投手成績
打率.239/出塁率.326/長打率.340/OPS.666
対左投手の打率の低さもさることながら、留意すべきは長打率の減少。とくに本塁打の発生頻度が落ちている点だ。
対右投手では、本塁打は32打席に1本のペースで量産してきた。しかし、対左投手では64打席に1本の間隔になっている。左腕からは4発以上の一発を打った楽天の打者は今季ここまで不在で、ペゲーロの3本塁打が最多。ウィーラー、アマダーが各2本塁打、茂木栄五郎、銀次らが各1本塁打で続く状況だ。
勝敗を見ても、相手の先発が左投手になると21試合9勝12敗、勝率.429と負け越している。楽天戦で5戦5勝を誇る天敵・菊池雄星(西武)の存在も確かに大きい。
また、交流戦期間中に行われた6月1日の巨人戦、プロ初先発の池田駿に5回無失点の好投を許して以降、左の先発投手が出てくると11試合で2勝9敗と著しく負けが込んでいる。去る日曜日、8月27日の日本ハム戦でも加藤貴之に5回3失点の粘投を許した。
ソフトバンクのブルペンを支えるキューバ出身の新星左腕・モイネロとの相性も悪い。ここまで6試合で対戦し、打者27人で25打数ノーヒット、14三振、2四球。ほとんどのアウトを三振か内野で奪われ、凡打とはいえ打球が外野に飛んだのはわずかに2本と完璧にねじ伏せられている。また、同じくソフトバンクの嘉弥真新也との対戦打率も.225とかんばしくない。
楽天がプレーオフを勝ち進んで2度目の日本シリーズ出場権を手にするには、立ちはだかるソフトバンクの「サウスポー対策」が急務になっている。
(※成績は8月28日現在)
文=柴川友次
NHK大河ドラマ「真田丸」で盛り上がった信州上田に在住。郷里の英雄・真田幸村の赤備えがクリムゾンレッドにみえる、楽天推しの野球ブロガー。開幕前から楽天有利、ホークス不利の前半戦日程を指摘、イーグルス躍進の可能性を見抜いた。