巨人の斎藤雅樹2軍監督が、1月に野球殿堂入りしたことを記念して、出身地の埼玉県川口市から特別表彰を受けた。
11月10日の「川口の日」に市内の川口リリアで開かれた式典で、あいさつに立った斎藤2軍監督は笑顔で話した。
「今まで私が野球をやってきて、携わっていただいたみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです」
斎藤2軍監督が野球を始めたのは小学校5年生のときで、母親に地元のリトルリーグの入団テストを強制的に受けさせられたことがきっかけだという。それでも、真面目な性格も手伝って中学、高校と川口市の学校で野球を続けた。
1982年、市立川口高校3年時の夏の埼玉大会では、決勝で惜しくも熊谷高校に1対3で敗れ甲子園出場は果たせなかったものの、その秋のドラフトで巨人から1位指名を受け入団。巨人の主力投手として活躍、426試合に登板し、180勝96敗11セーブという成績を残した。
斎藤2軍監督の大投手ぶりを象徴するのが1989年に達成した日本記録「11試合連続完投勝利」だ。ちなみに、今年の12球団の最高完投数はロッテの12回。残る11球団はすべて10回に満たない。これはチームのトータル完投数で、しかも負けも入れての数字。斎藤2軍監督は、ひとりで「11試合連続完投勝利」をやってのけたのである。
最近は、先発投手に対して「投球数100球」とか「クオリティースタート(6回以上、自責点3以内)」なんて考え方が一般的となっているが、そんなことが甘っちょろく感じられるほどのタフな記録だ。
もちろん、連続にならない試合でも多くの完投を記録していて、この1989年は30試合に登板し21完投。20勝7敗という成績で、最多勝、最優秀防御率(1.62)を獲得、沢村賞も受賞した。
この年を含め、最多勝5回、最優秀防御率3回、沢村賞3回、ベストナイン5回、ゴールデン・グラブ賞4回、MVP1回等々、タイトルは山ほど手中にしている。
今回の川口市の特別表彰は、前述したように野球殿堂入りに対してのものだが、先日、新たな勲章も手に入れた。10月下旬にメキシコで行われた「第1回WBSC U-23ワールドカップ」で、若き侍メンバーを率いて初代チャンピオンに輝いたのだ。
巨人の2軍もイースタン・リーグ&ファーム選手権で優勝しており、監督として「二冠」を達成。
1軍の監督候補として名前が上がることが少なかった斎藤2軍監督だが、この「二冠」により指導者として、一気に経験値を増した感はある。
巨人の1軍の指揮官には、今年から3年契約で高橋由伸監督が就任。最低でも2018年までは現体制。成績次第ではさらに延長もあり得るだろうが、結果が出なければどうなるかわからないのも監督という商売。この先、どこかのタイミングで斎藤2軍監督にオファーが舞い込む可能性があるかも!?
文=藤山剣(ふじやま・けん)