記憶に新しいのは昨年9月25日に行われたサブローの引退試合だ。この試合にサブローは「4番・DH」でスタメン出場。9回表に左翼の守備に入ると、2死後には左翼から右翼へ守備位置を変更。これにライトスタンドのロッテファンは大いに喜び、目の前に立つサブローに声援を送った。
そして9回裏、現役最後の打席が回ってくる。いつもより長いマリン名物の「サブローー!」コールで打席に入ったサブローは、右中間に二塁打を放ち22年間の現役生活に別れを告げた。
その2年前の2014年には、第1回WBCの日本代表正捕手として活躍した里崎智也が引退。引退試合となった9月28日のオリックス戦では1番に座り、2打席連続三振に終わる。
試合後の引退セレモニーも滞りなく終わり……と思われたが、さらに続きがあった。球場の外に設置されたステージに里崎が現れ、SMAPの「ありがとう」などを熱唱する里崎オンステージが始まったのだ。この背景には以前、試合後のヒーローインタビューで「この後、球場外のステージでライブやります!」と宣言し、実際にライブを行った出来事があった。ファンを大事にしてきた里崎らしい幕切れだった。
2009年10月6日の楽天戦。この試合はホーム最終戦となり、試合後にはこのシーズン限りで退任するバレンタイン監督と引退を表明した小宮山悟のセレモニーが予定されていた。
雨が降り続くなかでの試合はロッテの3点リードで9回表2死に。この場面で小宮山がマウンドへ上がり、現役最後の登板を迎えた。代打・セギノールに投じた初球、大きな飛球となった打球はライトスタンド手前で失速し、ライトフライとなり試合終了。小宮山はわずか1球で、史上最年長セーブ記録(当時)を更新した。試合後の引退セレモニーでは恩人であるバレンタイン監督に感謝の言葉を伝えた。
2006年、ガッツ溢れるプレーでファンを魅了した諸積兼司が引退を表明する。「モロ」の愛称で親しまれた諸積だったが、雨天中止の際にベース付近を覆うブルーシートにヘッドスライディングするパフォーマンスは、雨天中止時の千葉マリンスタジアム名物だった。
9月24日の引退試合では、試合後の引退セレモニーが終わり、諸積が場内一周するとホームベース付近には水が撒かれたブルーシートが設置された。引退試合当日は晴れていたが「雨のヘッドスライディング」が行われることとなったのだ。一塁、二塁とヘッドスライディングし、最後は二塁からホームに向かってヘッドスライディング。その愛されるキャラクターで最後までファンを沸かせた。
文=武山智史(たけやま・さとし)