まず優勝候補の筆頭は大阪桐蔭(大阪)で決まりだろう。二刀流の根尾昂や超高校級外野手・藤原恭大、プロ注目の右腕・柿木蓮など投打にタレントが揃っている。しかし、ライバルは指をくわえているだけではない。
東からは東海大相模(神奈川)が、西の横綱を倒さんとセンバツにやってくる。躍進のカギを握るのは、高校通算44本塁打を放っている右の大砲・森下翔太。昨秋の公式戦で41打数21安打5本塁打と大爆発した打棒が、聖地でも火を噴くか。
西では大阪桐蔭と同じ近畿地区の智辯和歌山(和歌山)にも注目が集まる。なかでもハイレベルな打撃でチームを引っ張る林晃汰の実力は折り紙つき。体調面万全で臨めれば不安はない。しっかりコンディションを整えてセンバツに乗り込み、大暴れしてほしい。
今センバツは10校の初出場校(21世紀枠含む)が出場する。そのなかで注目したいのは関東の2校だ。
まずは明秀学園日立(茨城)。エースの細川拓哉の兄は、細川成也(DeNA)。兄・成也は高校3年の夏の茨城大会で決勝まで進むも、あと一歩で甲子園出場を果たせなかったが、その無念を弟が晴らした。
もう1校はエース兼4番の二刀流・大谷拓海を擁する中央学院(千葉)。名前からも大谷翔平(エンゼルス)を連想させるが、本人もハイレベルな二刀流を目指している。ただ、本家・大谷を二刀流の参考にすることは少なく、もっぱらチェックしているのは、「投」はダルビッシュ有(ドジャースからFA)、「打」は柳田悠岐(ソフトバンク)とのこと。最高峰のハイブリッドで本家を彷彿とさせる活躍を見たい。
センバツといえば21世紀枠が特徴だが、今回も個性的なチームが選ばれた。特に気になったのは、59年ぶり4度目の出場を果たした膳所(滋賀)。卒業生に県知事やアナウンサーなどがいる進学校だ。
昨秋の滋賀県大会でベスト8に進んだ成績が評価された文武両道校だが、躍進の秘訣は昨年から取り入れたデータ解析班の存在が大きい。
主に対戦チームの打球方向を解析するのが仕事で、昨秋の滋賀県大会では解析班の分析を元にした作戦が見事にハマった。準々決勝で、後に優勝する近江に1対3と敗れるも、強豪相手に善戦するきっかけとなった。
春夏通して6度目の甲子園となるが、まだ白星はない。自慢のIT野球で悲願の1勝をつかみたい!
昨年のセンバツは大阪桐蔭と履正社による初の「大阪決戦」が話題になったが、それからもう1年が経とうとしている。
昨年もおおいに盛り上がったが、今年も記念大会というメモリアル性、そして、史上最強と謳われる大阪桐蔭の出場で、ファンの熱狂度はさらに上がることだろう。
高校野球史に残る1年の幕開けになることは間違いなく、今から開幕が待ち遠しい。
文=森田真悟(もりた・しんご)