時にプレーで、そして言葉で。主将(キャプテン)に就く男には、チームを鼓舞し頂点に導くことが求められる。似たものとして選手会長があるが、こちらはフロントらとの対外的な折衝が本来の役割。なので、キャプテンは「グラウンド上のリーダー」と呼ばれることが多い。
今季は9球団がキャプテン制を敷く。その中から特に注目したい3人の選手を挙げよう。
20年余りの空白を経て、強竜軍団に新キャプテン誕生だ。中日は今季から平田良介が主将に就任。1994年の仁村徹(現・楽天1軍ヘッドコーチ)以来、チーム22年ぶりの同制度復活である。
もうひとり、今季から主将に就任するのが日本ハム・大野奨太。こちらは宮西尚生から引き継ぐ。北海道移転以降は小笠原道大(2004〜2005年)、金子誠(2007〜2008年)に次いでチーム3人目となる選手会長との兼任だ。
「人格的にもチームを引っ張れる大野以外、他の選択肢がないくらいすんなり決めました。」と、栗山英樹監督もその人間性に絶大な信頼を置く。捕手としては、強肩に加え、投手を強気に引っ張る姿勢に定評があり、昨季は大谷翔平とともに最優秀バッテリー賞に輝いた。
オフにはFA権を取得。去就が注目される中、チームを高みへ導く使命を背負うことを決断した。そして、引退した中嶋聡から背番号27を継承。待ち受けるのは近藤健介、市川友也らとの正捕手争いだ。まずはレギュラーの座をがっちりと掴み、選手会長とキャプテンの「二足のわらじ」を全うする。
12球団で最も長く主将を務めているのが西武・栗山巧。2012年から務め、今季で5年目。端正な顔立ちに加え、人格者として知られる背番号1はファンから絶大な人気を誇る。
ある時には自転車で走る少年ファンに「ライオンズの帽子を被っているから」とサインボールを渡し、またある時には戦力外になった元チームメートに自らの運転手をやるよう提案し再起への支援を行う。マスコミ対応も真摯に行い、その姿勢はプロ野球選手の鏡のような存在だ。