プロ野球が開幕して約1カ月。成績ランキングを見ていると、順調に結果を残しているおなじみの顔ぶれの中に、「おや?」と思わせる名前がチラホラと見受けられる。
この突如ブレイクした選手たちは、何かきっかけを掴んだのか? それともこの季節特有の珍事なのか? 今回は絶好調の「春男(ハルオ)」を追いかける。
昨季終盤にヒジの手術を行った楽天の美馬学が、見事な復活劇を見せた。自身の開幕から2連勝。特に初戦は完封で飾るなど、まさに憑き物が落ちたかのような勝ちっぷりである。
美馬自身、ここ2年は4月だけで計6敗を喫しており、春は苦手かと思っていた矢先のできごと。まして病み上がりということもあったので、見事という一言に尽きる。
ちなみに2連勝のあとは、3戦連続で勝ち負けつかずという内容。しかし不安のある季節を黒星なしで乗り切ったのは、今後に向けて収穫になっただろう。エース・則本昂大を支え、釜田佳直や安樂智大といった若手を引っ張っていくためにも、5月以降の働きに期待がかかる。
終盤の大切な時期に調子を上げてくる「Mr.オクトーバー」などと違い、「春の珍事」などと合わせて、世間的にはあまりいい意味で使われない「春男(ハルオ)」。
しかしシーズンの好成績というのは、開幕時からしっかりと成績を残していなければ達成することはできないものだ。
今回挙げた3人には、キャリアハイはもちろん、何かしらのタイトルを取る可能性も十分にある。「春男(ハルオ)」から「夏男(ナツオ)」、そして「年男(トシオ)」になるべく、今後の活躍に期待したい。
文=森田真悟(もりた・しんご)