復活した『プロ野球呪いのハンドブック』の歩き方〜2014交流戦/セ・リーグ編
いよいよ20日に開幕する交流戦。今年で10年目を迎え、ようやく信頼できるデータとして蓄積してきたものが効果を発揮するだろう。
そこで再び手にとって欲しいのが、今年2月に発売した『別冊野球太郎2014球春号〜プロ野球呪いのハンドブック』(発行・イマジニア株式会社ナックルボールスタジアム/発売・廣済堂出版)だ。
12球団別に呪いポイント(=チームの課題、ファンとしてはより応援するべき状況)がびっしりと書かれているこの本を読み返せば、ひと味違った視点で応援するチームの交流戦における「傾向と対策」が見えてくる。しかも、昨季の交流戦の勝敗数やチーム打撃成績、チーム投手成績まで詳細に掲載されているので、今年の交流戦観戦の手引きになることは間違いない。
今回は昨年の交流戦とこれまでの今シーズンの戦いを振り返って、各球団の交流戦での見どころ、応援ポイントをまとめてみた。こちらはセ・リーグ編。
セ・リーグ1位:広島東洋カープ
◎交流戦の応援ポイント→鬼門の交流戦でも今年のスタイルを突き通せるか
今季は、ここまで絶好調の広島。それだけに、今年の交流戦の戦いは重要になってくる。というのは例年、広島の交流戦成績はパッとせず、昨季の11勝13敗で全体8位で、よかったほう。2007年と2011年は全体で最下位に沈むなど、パ・リーグ相手に弱い傾向がある。
これまでのシーズンと同じ戦いができるかどうか、それに尽きるだろう。
セ・リーグ2位:阪神タイガース
◎交流戦の応援ポイント→カギを握るのはゴメス!
昨季は12勝11敗1分で全体7位。投手陣の健闘が目立った。防御率3.13は巨人に次ぐリーグ2位で、先発防御率3.29は巨人を抑えてリーグNo.1。昨年はパ・リーグの強力打線を封じていた先発陣だが、能見篤史は5月に入って3連敗と不安。3連続完封中のメッセンジャー、藤浪晋太郎も調子を上げてきたところに、エースの力も加われば期待できる。
昨年、勝敗がほぼ五分に終わったのは、攻撃陣が原因だろう。出塁率.320と四球82はリーグ最高成績だったが、183残塁はリーグワースト。決定打不足だったが、今年はゴメスとマートンがどっしりと構え、打点を稼いでいる。2人に続く、新井良太も打席数が少ない割に打点は多い印象だ。交流戦でもゴメスの調子が維持し、打ち続けるか、注目したい。
▲マートン
セ・リーグ3位:読売ジャイアンツ
◎交流戦の応援ポイント→東京ドーム対策は万全に…
セ・リーグで唯一、交流戦優勝経験がある巨人。一昨年の2012年には17勝7敗で優勝。昨季もセ・リーグ最多となる13勝をマークし、全体でも3位でフィニッシュ。セ・リーグのチームでは交流戦は得意な部類のチームなので、今年も勢いをつけたいところだ。2013WBCではキューバ代表の4番を務めたセペダがどのような活躍を見せるか、は巨人ファンならずとも気になるところ。
▲セペダ(2013WBCにて)
しかし、気掛かりなのが、昨季と比べて波に乗れない投手陣だ。昨季の交流戦の救援防御率1.01と無双状態だが、現時点で西村健太朗を欠く今季の布陣には、一抹の不安がある。さらに今年の交流戦では、セ・リーグ球場でDH制を採用。本塁打の出やすい東京ドームで、パ・リーグの強打者たちをどう封じるか要注目だ。
セ・リーグ4位:中日ドラゴンズ
◎交流戦の応援ポイント→なんとか乗り切りたい投手陣
昨季は10勝13敗で全体8位だった中日。呪われていたのが投手陣だ。昨季はチーム防御率3.81に対して、交流戦限定の防御率は4.47と悪く、被打率も3割近くを記録してしまった。今シーズンも現在まで防御率4.22とよくはない数字になっている。
セ・リーグでは巨人についで交流戦に強い中日。打線は経験豊富なベテランが揃い、今季もまずまずの調子だ。あとは、投手陣次第。パ・リーグの強力打者を抑えきれないと、さらに昨年よりも下回る数字になるかもしれない。
セ・リーグ5位:東京ヤクルトスワローズ
◎交流戦の応援ポイント→今年の交流戦は上昇気流? 下降気流?
過去には全体で2位に入るシーズンも2回あったヤクルトだが、近年の交流戦はかなり相性が悪く、2012年には10連敗を喫し、最下位も経験した。2010年は交流戦開幕から9連敗の後、当時の高田繁監督が辞任ということも。
開幕前後でケガ人が急増し、最悪なスタートを切ったが、交流戦前の5月は10勝6敗でセ・リーグ月間1位、かつ6連勝と勢いに乗って、交流戦に突入する。絶好調の打線が交流戦で波乱を呼ぶかもしれない。
セ・リーグ6位:横浜DeNAベイスターズ
◎交流戦の応援ポイント→交流戦最下位から脱出できるか?
昨シーズンの交流戦は7勝17敗で最下位だったDeNA。過去に最下位が4度あり、9年間の総合成績でももちろん最下位。交流戦で最も呪われている球団といっても差し支えないだろう。ちなみに、昨シーズン、投手陣は防御率4.59、打撃陣は併殺打26がリーグワーストを記録した。
昨年、リーグトップの成績だった打線の破壊力は鳴りを潜め、一転してリーグ最下位のチーム打率となり、相変わらず防御率も最下位。よって順位も最下位。しかし、それが一度リセットされるのが交流戦。復帰するブランコや新加入のグリエルらが起爆剤となれるか!?
▲ブランコ
以上、『呪いのハンドブック』をもとに、今年の交流戦の応援ポイントを記してみた。開幕からここまで、パ・リーグではオリックスがリーグトップとなっている。果たして、交流戦でも多くの勝ち星を積み上げることが出来るのか。レギュラーシーズンとは異なる“非日常のプロ野球”を、今年も大いに楽しみたい。
(※今シーズンのデータは5月18日試合終了時のものです)
(文=編集部)
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