【無事是名馬】今季生まれた様々な「連続記録」!【長く現役を続けたから成し遂げられた味わい深さ】
スター選手とそうでない選手を分ける差とは何か? 身体能力の違いやタイトル獲得数、優勝回数などいくつかあるだろうが、「毎試合、毎シーズン、結果を残し続けられるか」ということも重要な要素だろう。一発屋で終わらずに、コンスタントに試合に出続けることができて、はじめてレギュラーの座を勝ちとることができ、年俸も上がっていくのだ。そこで今回は、球界でも珍しい「連続記録」を樹立した選手たちをクローズアップ。球界に残したインパクトの大きさからランキングにしていきたい。
山本昌(中日)
――世界の王を超える連続記録達成
2014年の球界において大きな足跡を残した人物といえば、中日ドラゴンズの山本昌で間違いないだろう。9月5日の対阪神戦で今季初登板。これまで浜崎真二(元阪急)が持っていた48歳10カ月というNPB史上最年長出場記録を更新する、49歳0カ月でのマウンドとなった。さらにこの試合、5イニング無失点で勝利投手となり、同じく浜崎の48歳4カ月の史上最年長勝利投手の記録も更新した。
そして今季、実は開幕を迎えた時点で達成した偉大な連続記録もある。山本昌は1984年の中日入団以来、背番号「34」を付けている。これは、1959〜1988年まで巨人で背番号「1」を付け続けた王貞治氏(選手、コーチ、助監督、監督時代を含む)の持つ「30年連続同一背番号」というNPB記録を更新する、「31年連続同一背番号」という新記録なのだ。
既に来季の現役続行も決定している山本昌。「9割方来季で最後」とは言っているが、この連続記録をさらに更新できるよう、さらなる奮起を期待したい。
悲喜こもごも……救援投手たちの連続記録
セ・リーグを制覇した巨人では山口鉄也が今年も60試合に登板し、自身の持つ「6年連続60試合登板」記録を「7年連続」に塗り替えた。6月6日の対西武戦でNPB史上初となる通算200ホールドも達成。不調だった4月から始まり、シーズンを通してランナーを出すことが多かったが、今年も鉄腕ぶりを披露している。
一方、パ・リーグを制したソフトバンクでは、8月8日の対西武戦で五十嵐亮太が救援登板し、ヤクルト時代の初登板から数えて「601試合連続救援登板」というNPB新記録を樹立した。
救援投手、といえば忘れちゃいけない中日の岩瀬仁紀。7月31日の対広島戦において、自身の記録を更新する「11年連続20セーブ」を達成。ところが、8月にヒジの異変を訴えて戦線離脱。NPB記録としていたシーズン50試合登板は15年でストップ。連続30セーブも9年で途切れてしまった。「鉄腕」、「死神」とさまざまな異名を得てきた男にとって、来季はいよいよ正念場の1年となりそうだ。
「守備の人」が打ち立てた偉大な連続記録(セ・リーグ編)
侍ジャパンにおいてもセカンドで圧倒的なパフォーマンスを見せる広島の菊池涼介。昨季、自身が記録した二塁手での補殺記録528を更新する「529捕殺」を達成するなど、守備面でのパフォーマンスはますます向上。だが、それ以上に今季目立ったのが打撃面での活躍だった。
昨季まで2割5分に達したこともなかった打率が、リーグ2位となる3割2分5厘を記録。さらに圧巻だったのが今季、2度に渡って「20試合連続安打」を記録したことだ。同一年に20試合連続安打を複数回記録したのは、1950年の平井正明(当時西日本パイレーツ/のちに平井三郎に改名し巨人で活躍)と1994年のイチロー(当時オリックス)の2人のみ。菊池が20年ぶり3人目となる偉業達成になった。
「守備の人」が打ち立てた偉大な連続記録(パ・リーグ編)
7月31日、ロッテの岡田幸文が対日本ハム戦の第1打席で中前打を放ち、プロ入りからの「連続打席無本塁打」をNPBタイ記録の1770に。さらに次の第2打席で死球を受け、「1771打席連続無本塁打」という新記録を達成した。
この偉業を受け、ロッテでは8月19日からオリジナルTシャツを販売するなど、盛り上がりを見せた。この記録の真の価値は、「本塁打が打てなくても試合に出続けることができた」という点にあるのは間違いない。長打力がなくても、攻撃面を多少差し引いても、岡田の守備力は球界屈指である、ということの裏返しでもある。岡田自身も「非力でも本塁打が打てなくても、プロの1軍でやっていけるということを子供たちに伝えたい」とコメント。今後、この記録をどこまで伸ばせるのかにも注目だ。
山田哲人(ヤクルト)
――大ブレイク! 安打数だけじゃない、もうひとつの記録
今季、一躍ブレイクを果たした選手といえば、ヤクルトの山田哲人がいの一番で挙がるのではないだろうか。初代ミスタータイガースこと阪神の藤村富美男が1950年に記録した日本人右打者のシーズン通算191安打を更新したことでも話題を呼んだ。
そんな山田が今季達成した連続記録が、4月から9月にかけて「6カ月連続で初回先頭打者本塁打」を打ったことだ。これはNPB史上初の快挙である。トリプルスリー(3割、30本、30盗塁)にもっとも近い男、とも称される山田。シーズン200安打も含め、来季はどこまで数字を伸ばしてくるか、楽しみでならない。
■ライター・プロフィール
オグマナオト/1977年生まれ、福島県出身。広告会社勤務の後、フリーライターに転身。「エキレビ!」、「AllAbout News Dig」では野球関連本やスポーツ漫画の書評などスポーツネタを中心に執筆中。『木田優夫のプロ野球選手迷鑑』(新紀元社)では構成を、『漫画・うんちくプロ野球』(メディアファクトリー新書)では監修とコラム執筆を担当している。近著に『福島のおきて』(泰文堂)。Twitterアカウントは@oguman1977(https://twitter.com/oguman1977)
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