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弁当の呪い、1点差の呪い、本塁打の呪い…ロッテは「呪い」を払拭できたのか?

 開幕前、『野球太郎 プロ野球[呪い]のハンドブック』で指摘していたロッテの呪いについて、懸念されていたものは以下の5つ。

◎1点差ゲームの“揺り戻し”は?

◎空砲の多さは解消された?

◎苦手だった西武戦対策は?

◎お祓い選手の活躍は?

◎弁当の呪いは?


 果たして今季のロッテは、この5つの呪い要素を解消できたのだろうか。

1点差ゲームの“揺り戻し”は?……【払拭!?】


 昨季のロッテは1点差ゲームに強かった。リーグトップの勝率.605をマークするなど、接戦に強かったのが3位に滑り込んだ要因だ。そして、今季始めに懸念されたのが、1点差ゲームの勝率が前年を下回るという、いわゆる“揺り戻し”が呪い要素として挙げられた。過去10年のパ・リーグでは、前年に1点差勝率トップを記録したチームは、わずか2シーズンを除き、その勝率を下回るというデータがあるのだ。

 果たして、今季のロッテはどうだったか。9月7日現在、1点差ゲームの勝敗は20勝14敗、勝率.588という記録が残っている。たしかに、昨季の勝率.605を下回っており、現時点では、前年の勝率を下回る「呪い」にかかってしまった、ということになる。しかし、この勝率はソフトバンクの24勝16敗、勝率.600に次ぐ数字で、また、ロッテの今シーズンの勝率.444を考えると、1点差ゲームではなかなか優秀な成績を残している。残り試合では、粘って接戦に持ち込み、1点差勝ちを多く積み重ねられれば、「呪い」払拭も夢ではない。さらに、1点差のゲームをモノにしていくことで、逆転でCS進出を掴み取ることができるかもしれない。


▲今季から抑えに転向した西野勇士が防御率1.70という安定感で28セーブを挙げている。この活躍が1点差試合に強い要因の1つになっている。

空砲の多さは解消された?……【継続中】


 続いて今季始めに懸念されたのが、ロッテ打撃陣の空砲の多さだ。ロッテは伝統的に、チームに勝ちがつかなかったときの本塁打=空砲が多く、チームの総本塁打に占める空砲の割合は、2011年は48%、2012年は47%、2013年は41%とパ・リーグでは3年連続で40%台を記録。せっかくの本塁打が、勝ちに結びつくケースが少ないのだ。

 では、今季のロッテ打線はどうか。これもシーズン途中の9月7日現在の成績で、チーム総本塁打81本のうち、負け試合で飛び出した本塁打は28本。計算すると35%の空砲率を記録している。これはリーグ上位2チームのソフトバンクの30%(全79本中、空砲は24本)、オリックスの21%(全96本中、空砲は21本)と比べると、やはり空砲が多いといわざるを得ない。ロッテ打線には効果的な一発を期待したい。

苦手だった西武戦対策は?……【要観察】


 昨季、ロッテが苦手にしていたのが西武と楽天。ともに対戦成績は10勝14敗と、ロッテが負け越している。特に対西武戦ではロッテ投手陣は防御率4.65と打ち込まれ、打撃陣も西武戦は他球団と比較して最小の、わずか88得点しかあげられなかった。

 今季のロッテは、対西武戦の秘策を打ったのだろうか。9月7日現在、ロッテは対西武戦では9勝11敗と2つ負け越し。対戦防御率は5.05と、他球団と比べて唯一、5点台を記録。得点は81と、昨季とほぼ同じペースのままだ。

 ただし、9月8日からは、QVCマリンフィールドで対西武4連戦がスタート。今シーズン最後の戦いで、対戦防御率や総得点数に変化がみられるかもしれないので、是非とも注目してほしい。今季も「千葉vs埼玉のライバルシリーズ」と銘打って行われたロッテvs西武。来季以降もロッテと西武は“永遠のライバル”になりそうな気がする。

お祓い選手の活躍は?……【継続中】


 『野球太郎 プロ野球[呪い]のハンドブック』名物ともいえる「お祓い選手名鑑」。より一層、応援したくなる選手をランキング形式でまとめたものだが、今季のお祓い選手のベスト3選手は、大嶺祐太、神戸拓光、中後悠平といった顔ぶれだった。

 今季の大嶺祐太は、弟の大嶺翔太と同一試合に出場して話題を集めた。しかし、肝心の成績の方は、まだまだ物足りない。シーズン終盤、ようやく首脳陣の信頼を得て先発ローテに定着している大嶺。優勝の可能性が消えたロッテだが、彼にとっては今こそ大事な時期だ。


▲大嶺祐太


 昨季は自身のブログ炎上事件もあり、一念発起して今季に臨んだ神戸拓光。ご存じの通り、結果を残せたとはいえないシーズンになってしまった。そして中後悠平もまた、1軍と2軍を行ったり来たりの“浮き草”生活。制球難を克服しなければ、首脳陣の信頼を得ることはできない。2人とも他の選手にはないものを持っているだけに、活躍を願うファンは多いだろう。

弁当の呪いは?……【継続中】


 そして最後、どうしても取り上げたかったのが「ロッテ弁当の呪い」だ。ファンの間で都市伝説的に語られているこの呪いは、1996(平成8)年の「決め手はフォークだ! 伊良部弁当」を発売後、そのオフにはメジャー挑戦を表明して球団とケンカ別れした伊良部秀輝を皮切りに、1997年の「ダブルストッパー弁当」に登場した成本年秀と河本育之は、弁当発売直後に故障発生。1998年の「フランコフルト弁当」発売時は、フリオ・フランコがスランプに突入。「ジョニー黒木弁当」「石井浩郎弁当」「小坂スチール弁当」など続々発売されるも、モチーフとなった選手たちも続々と故障発生。その弁当は、選手に不幸をもたらし続けた。

 そして今季、「弁当の呪い」は生きていた。キューバから途中加入したアルフレド・デスパイネにあやかった「デスパインいいね!丼」は、8月18日から発売。ハンバーグとパイナップルが具となった丼(どんぶり)で、980円で三塁側2階の一文字屋で販売されていた。

 そして、デスパイネが「右腰背筋挫傷」を発症し、全治2週間の診断を受けたのが21日。脅威の回復力で現在は復帰しているデスパイネだが、やはり「弁当の呪い」は継続中といえるだろう。 あるロッテファンは「昨年発売された『ブラゼルパワー・スタミナ丼』など、今まで丼(どんぶり)モノの弁当は呪いとは無縁だったんですが、ついに丼モノまで呪いが……」と、悲しみに暮れていたのだった。

 弁当の呪いは他として、1点差ゲームの勝率や、来季以降にも影響が出そうな対西武戦の戦い方、そして大嶺祐太らの活躍など、シーズン終盤ギリギリも見どころが多い千葉ロッテマリーンズ。数々の「呪い」を検証しながら、残り試合を楽しんでほしい。


▲今シーズン注意すべき「呪い」を紹介している『別冊野球太郎 プロ野球[呪い]のハンドブック』。「呪い」といってもおどろおどろしいものではなく、ネガティブな記録を背負う選手やチームを、より応援したくなる「応援ハンドブック」としてお楽しみいただけます!


■ライター・プロフィール
鈴木雷人(すずき・らいと)/会社勤めの傍ら、大好きな野球を中心とした雑食系物書きとして活動中。自他共に認める「太鼓持ちライター」であり、千葉ロッテファンでもある。Twitterは@suzukiwrite

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