打者のなかで奮起していた選手の筆頭といえば金子侑司。
ケガの中村剛也に代わって主に三塁を任されると、猛打賞1回、マルチヒット7回と大暴れ。交流戦開幕前は.258だった打率が、終わってみれば.289と、実に3分も上げてみせた。
また打点8、盗塁8を荒稼ぎするなど、要所でも力を発揮。するとDHを使えないセ・リーグの主催試合では2番に抜擢されるなど、チーム内での評価も高まっている。
ただ、交流戦明け初戦は苦手としているロッテが相手なだけに、真価が問われることになりそうだ。
投手代表としては、菊池雄星を挙げたい。
交流戦を迎えるまで、パ・リーグ相手に4勝5敗と負けが先行していたが、交流戦では3試合に投げて2勝0敗と土つかず。しかもすべてクオリティスタートと、先発の仕事をしっかりと果たしている。
常に100球超えと球数が多く、四死球も1試合平均2.67となかなか減らないが、それでも抑えているのは事実。変に減らそうと意識して崩れるよりも、ランナーがいても、お構いなしにねじ伏せるスタイルを確立してもらいたい。
いい意味で、「荒れ球使い」の師匠・石井一久を超えてほしい。
また交流戦最後のカードでは、以下のような出来事があった。
・岸孝之がケガから復活
・新戦力、ポーリーノが初登板を5回無失点
・昨年のドラフト1位・多和田真三郎が初勝利
「コリジョン・サヨナラ」でつまずき、広島に3タテを食らった直後に迎えたヤクルト戦。岸の復活やポーリーノの合流を勝利で祝うことができず、ズルズルと5連敗を喫したが、最終戦で多和田がプロ入り初勝利を挙げた。
援護をもらいながらも吐き出すという苦しい内容だったが、「連敗ストップでの初白星」は価値が高い。多和田はこれを自信にして、後半のレギュラーシーズンに臨んでもらいたい。
西武は交流戦が苦手である。例年どおりなら、8勝9敗で迎えた最終戦も負けて、借金を背負って交流戦を終えていただろう。
今年は違った。最後のひと踏ん張りが効いて、巻き返しに成功。ここでイーブンで踏みとどまれたのは、チームの意識が変わっていることの何よりの証拠だろう。
中村剛也と牧田和久の離脱で、また台所事情が苦しくなった感は否めないが、若手が力を発揮したことで光が見えてきた。交流戦後のパ・リーグをかき回すのは、西武しかいない。
文=森田真悟(もりた・しんご)