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《君はこんなもんじゃない!》脱“2軍番長”。塚田正義(ソフトバンク)よ、V奪回の秘密兵器となれ!


 プロでの活躍を期待されながら、殻を破りきれず、「鳴かず飛ばず」で期待を裏切り続けてしまう選手たち。もう一歩で覚醒しそうな選手たち。『野球太郎』本誌では、そんな選手を「君はこんなもんじゃない!」選手(君コン選手)と呼んで、過去に特集も組んできた。

 週刊野球太郎では、2017年の幕開けに、ライター陣がピックアップする12名の最新「君コン」選手を取り上げ、愛情たっぷりに鼓舞したい。

 今回は生まれも育ちの北海道ながら、ホークスファンひと筋40年のライター・溝手孝司が挙げるソフトバンクの「君コン」選手、塚田正義をピックアップ!

1軍ゼロ安打でお立ち台デビュー。


 塚田正義は2011年にドラフト3位でソフトバンクに入団。白鴎大時代には、関甲新学生野球リーグ記録となる通算18本塁打を成し遂げ、スラッガーとして期待されていた。

 1軍デビューはプロ3年目の2014年。8月9日の日本ハム戦では延長10回裏1死一、三塁の場面で代打として1軍で3回目の打席に入ると、サヨナラ犠牲フライを放った。“1軍ゼロ安打”ながらお立ち台に上がる衝撃的なデビューを飾った。

 また、初安打が本塁打という印象に残る一打を披露するが、トントン拍子で1軍定着とはいかず、5年間のプロ生活において、1軍での安打数はわずか2本のみ。大半を2軍で過ごすシーズンが続いている。

 ただ、ウエスタン・リーグでは、2014年に最多打点と最高出塁率、2016年も最多安打と最高出塁率のタイトルに輝き、あとは1軍で活躍するだけなのだが……。


まずは“吉村裕基、江川智晃超え”を目指せ!


 塚田は内野手として入団したが、2015年からは外野手に登録変更。とはいえ、昨季は、三塁手や指名打者での出場も多かった。

 絶対的な守備力があるわけではないが、必要最低限は守れるので、内野でも、外野でも出場のチャンスがないわけではない。

 しかし、タイプとして、吉村裕基や江川智晃と完全に被っているのだ。

 先述した通り、塚田は1軍で2安打しか放っていないのに、そのうちの1本が本塁打。しかもノーヒットでお立ち台。プロとして“持っている”選手ともいえる。

 ただ、代打同点本塁打やサヨナラ本塁打を放ってきた吉村や、1軍昇格後、すぐ活躍した江川も、塚田に負けず“持っている”選手。野手に関しては、実績重視で起用する傾向が強い工藤公康監督へアピールするためには、キャンプ、そしてオープン戦で、“1軍で使いたい”と思わせる打撃が求められる。

2017年は正念場! “2軍番長”は卒業だ!!


 3軍制度を導入し、若手戦力が底上げされたソフトバンク。しかし、どんなに若手のレベルが上がっても、1軍のベンチに入れる人数は28人で変わりない。

 2015年のオフには、塚田と同期入団の白根尚貴が育成契約を断り、トライアウトを経てDeNAに入団。そして今オフは、1歳年上の猪本健太郎が戦力外通告されるも、テストを受け、ロッテへの入団が決まった。猪本への戦力外通告には、「もったいない」、「上で使えば、もっと活躍できるのに」というファンの声も多く聞いた。

 しかし、猪本はクビになり、塚田はチームに残った。それが現実だ。

 これは、球団がかける塚田への期待の現れだろう。しかし、塚田の背後では、生きのいい後輩野手がどんどん育ってきている。期待はされているが、“もう後がない”とも言えなくはない。


“ダブル正義”でV奪回だ!


 プロ初のお立ち台で「孫正義オーナーと一緒の名前です」と高らかにアピールした塚田正義。ドラフトでは同じ漢字表記で「せいぎ」と読む田中正義(創価大)が、5球団競合の末に入団した。

 言わずも知れた大学球界を席巻した“怪物右腕”だ。

 「投は正義、打も正義」。今季、田中が快投を見せた試合で塚田も活躍し、そんな見出しがスポーツ新聞に出ることを期待したい。


文=溝手孝司(みぞて・たかし)

札幌在住。広告代理業を営みながら、ライター、イベントなどスポーツ関連の仕事もこなす。生まれも育ちも北海道ながら、ホークスファン歴約40年。

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