昨シーズン終了後、ロッテの伊東勤監督は驚きのプランを発表した。2014年に抑えに転向してから守護神を3年間務めた西野勇士を、先発として起用する考えを明言したのだ。
西野は2008年の育成ドラフト5でロッテに入団。2012年のオフに支配下登録され、2013年から1軍で登板している。デビュー戦は中継ぎ登板だったが、2戦目からは先発で起用されローテーションに定着。139回2/3と規定投球回にはわずかに届かなかったものの、22試合に先発し9勝6敗。防御率3.80の好成績を挙げた。
2014年からはクローザーに定着。最速150キロのストレートとフォークを武器に安定した成績を残した。侍ジャパンに選出されるなど、球界を代表する抑えまで上り詰めた。
しかし、昨シーズンは開幕こそ好調だったが、6月下旬から4試合連続失点を喫するなど不調に陥ってしまう。その後、右ヒジの故障もあり2軍降格。9月下旬に1軍復帰したもののクローザーの座は益田直也に奪われていた。
伊東監督は「増井くらいやってくれればいい」と語っており、先発としての西野に大きな期待を抱いている。西野も「涌井(秀章)さん、石川(歩)さんと三本柱になる」と意気込んでおり、先発再転向後の活躍に期待したい。
昨シーズン、大瀬良大地(広島)は投手陣の柱となることを期待されながらも故障で出遅れ、初登板はオールスター明けの7月半ばだった。その試合では3回4失点でノックアウト。以降は首位を快走するチームの中継ぎを担った。
結果、17試合で3勝1敗4ホールドをマークし、リーグ優勝に貢献。クライマックスシリーズ、日本シリーズでも中継ぎで登板しシーズンを終えた。
シリーズ終了後に緒方孝市監督から「来シーズンは先発で頼むぞ」と声をかけられており、自主トレでは先発投手としての調整を行っている。引退した黒田博樹からも「お前が頑張らないといけない」と激励された。先発・大瀬良の責任は重い。
広島の先発陣はジョンソン、野村祐輔の二枚看板は今シーズンも健在。しかし、引退した黒田浩樹の10勝と151回2/3の投球回を誰かが埋めなくてはならない。大瀬良は新人王を獲得した2014年以来の先発ローテーション投手としてマウンドに立ち、黒田の穴を埋めると意気込んでいる。
4年連続Bクラスとなった中日の再建を託された森繁和新監督。FAによる流出が噂された大島洋平、平田良介は無事に残留。主砲・ビシエドの契約延長も決まった。さらに、新外国人選手のゲレーロ、アラウホ、ロンドンを獲得と戦力を整えてきた。
森監督も驚きのプランを考えている。中継ぎとして活躍している又吉克樹、福谷浩司の先発転向だ。かつて落合博満元監督が中継ぎの浅尾拓也を開幕投手に指名。以降も先発として起用した過去はあるが、その時はわずか7試合で中継ぎに戻している。
とはいえ、先発投手陣へのテコ入れは中日の至上命題。昨シーズは規定投球回に到達した投手も、2ケタ勝利を挙げた投手もおらず、先発投手陣の層の薄さが浮き彫りになっていた。そんな状況での先発転向プランだけに信憑性は高い。
抑えの田島慎二に加え、2017WBCの代表メンバーに選ばれた岡田俊哉、昨シーズンにブレイクした小川龍也、新外国人の2投手と中継ぎ陣の層は厚い。福谷、又吉を先発に回し、先発ローテーションを厚くする狙いは成功すれば、中日浮上の大きな原動力となる。
森新監督の手腕に期待したい。
文=勝田 聡(かつた・さとし)