2016年の阪神のセンターは、まさに日替わりメンバー。先発出場数は以下のようになっている。
■2016年・阪神のセンターの先発出場数
31試合:江越大賀
29試合:中谷将大
24試合:高山俊
22試合:横田慎太郎
12試合:大和
9試合:伊藤隼太
8試合:俊介
4試合:緒方凌介
2試合:柴田講平
2試合:西岡剛
このカオス状態を、糸井に一任できるのは大きい。そうすることで、シーズン終盤はセンターに入ることも多かった高山をレフトに固定できる。そして、ライトは福留孝介。ファーストへのコンバート案も浮上していたが、本人の意向もあってライトに落ち着いたようだ。
来年4月には40歳となる福留、7月には36歳となる糸井。年間を通してコンディションをキープするのは楽ではないだろうが、それができて、ドラ1ルーキーとして134試合に出場し打率.275と結果を出した高山が今季以上に落ち着いてプレーできれば、阪神の外野は攻守ともに12球団トップレベルの布陣となる。
阪神とは4年18億円(推定)という大型契約を結んだ糸井。それだけに、期待も膨らむところだが、懸念もある。複数年の大型契約締結後に、成績を落とす選手が少なくないからだ。巨人の内海哲也、阪神の鳥谷敬、西武の中村剛也などは、以前とは別人のように低迷。もちろん、単なるスランプだけでなく、期間が長くなればなるほど故障した際のリスクも高くなる。
今季は、キャリアハイとなる53盗塁を記録し、西武の金子侑司と分け合う形でタイトルを獲得した糸井。35歳での盗塁王は史上最年長記録。打率も2年ぶりに3割(.306)に乗せるなど、ハツラツとした動きを見せた。
とはいえ、前述したように来季は36歳になる。身体能力は球界随一と言われる糸井でも、4年という長期に渡って結果を出し続けて、阪神の首脳陣、そして激アツな阪神ファンを納得させられるか。意を決してタテジマに袖を通した糸井のパフォーマンスに注目だ。
文=藤山剣(ふじやま・けん)