梶谷隆幸、桑原将志、宮崎敏郎といった現在の中心選手は、数年前までは「我慢して」起用していた時期があった。
特に梶谷、宮崎はコアなDeNAファンの間では伝説となっている守備での凡ミスを犯し、桑原も内野から外野へのコンバート案が浮かんでいた。ただ、少々のことがあっても中畑前監督が目をつぶって起用してきた。
ひるがえって現在のDeNAを見ると、野手のスタメンはほぼ固定され、若手が出場できる余地は少ない。強いていえば、割って入れそうなのは二塁くらいだろうか。あとは代打でチャンスをもぎ取るしかない。それが現在のDeNAの若手に見えるトンネルの出口だ。
先述した通り、若手のスタメン獲得に最も可能性を残すのが二塁。ベテラン田中浩康や石川雄洋らたくさんの選手がひしめくポジションだが、レギュラー奪取に一番近い若手といえば柴田竜拓だろう。
現在、柴田は田中浩との併用で二塁に起用されているが、すでに40試合以上に出場しており、打率は2割5分以上の結果を残している。また、チームが喉から手が出るほど欲しかった「勝率5割」に手が届く大事なゲームでサヨナラ安打を決めるなど、強運も併せ持っている。近いうちにレギュラーに定着する可能性は十分だ。
もう1人、期待の若手として白根尚貴を挙げたい。白根の名を知る人は多いだろう。開星高時代は体重が100キロを超え、“ジャイアン”のような風貌で、打ってよし、投げてよし、投打両面で活躍して甲子園を沸かせた。2011年のドラフト4位でソフトバンクに入団したものの、プロ入り後はケガが重なり、育成選手契約に。そして、2015年オフ。球団は育成選手として契約延長を望んだものの、白根は出場機会を求めて自由契約選手となり、トライアウトに参加。DeNA入団を勝ち取った。
現在の白根は、以前の巨体とは別人のようなスリムな姿に生まれ変わった。しかし、パワフルなバッティングは健在。数少ない出場機会で本塁打を放つなど、次世代のDeNAの中心野手を狙える位置にいることは間違いない。
一方、投手陣はどうだろう。打者に比べて多くの若手がひしめいている印象はあるが、ドラ1ルーキー・濱口遥大ほどの存在感がある選手となると、ブレイクした若手投手はまだ続いていない。
果たして誰が頭角を現すのか。登板機会に恵まれている平田真吾、FAの人的補償で巨人から移籍してきた平良拳太郎、2015年のドラフト2位・熊原健人あたりがブレイク候補か。彼らの目の前には飛躍するチャンスが広がっている。この好機を生かしてほしい。
文=元井靖行(もとい・やすゆき)