1月24日、春のセンバツに向けた選考委員会が開かれ、全32校の出場校が出揃った。見どころ、注目校などを紹介しよう。
21世紀枠は帯広農(北海道)、磐城(福島)、平田(島根)の3校に決まった。
帯広農の「農業高校旋風」、磐城が災害復興の光になることにも大いに期待したいが、今後の野球界に目を向けると平田の野球普及活動に注目したい。
平田は以前から、地域の幼稚園や保育園で野球教室を開催し、野球人口増加に向けた取り組みをしている。近年では中学校や高校の野球部でこうした活動が増えているが、中国地方では平田がパイオニア的存在。野球を教えてくれた「お兄ちゃんたち」が甲子園で躍動する姿は、幼い子どもたちに夢と希望を与えることだろう。
野球人口が減る今、野球界全体が策を練る中でこうした地道な活動が少年少女の「野球をやりたい」という気持ちを呼び起こすのではないだろうか。今年だけとは言わず、来年以降も21世紀枠に「野球普及枠」を取り入れてほしい。
2020年のドラフト戦線に向けて、まず「世代ナンバーワン高校生投手」の座が固まるのが、春のセンバツの舞台だろう。
まず、注目したいのは明治神宮大会優勝で順当にセンバツに駒を進めた中京大中京のエース・高橋宏斗。コンスタントに140キロ台中盤から後半を叩き出す地力があり、ツーシームや縦スラを低めに集める。
近畿大会ベスト8で当落線上だった明石商もセンバツ出場が決まった。ご存じ不動のエースは、昨夏の甲子園で最速151キロを記録した中森俊介。秋は不調だったが、それでも試合をまとめる総合力の高さを見せた。主将の来田涼斗とともに悲願の甲子園制覇、そしてドラフト上位を目指す戦いになるだろう。
昨夏の優勝投手である履正社・岩崎峻典も甲子園王座防衛戦。夏は変化球を駆使した投球で上級生を手玉に取ったが、パワーも増してきており、ドラフト上位候補まで駆け上がる可能性を秘めている。
日本航空石川の嘉手苅浩太もロマンの塊。190センチ105キロの日本人離れした体から最速147キロを繰り出す。ただデカいだけではなく、投打にしなやかさを持ち合わせており、いよいよ全国にお目見えするときがやってきた。
1年生(新2年生)のブレイクもセンバツの見どころのひとつだ。中学時代から軟式で140キロを叩き出し、昨夏の甲子園でも登板した笹倉世凪、伊藤樹の仙台育英コンビもそろそろ本格化の時期を迎えそうだ。
智辯学園・西村王雅は昨秋近畿で注目された実力派左腕。甲子園の舞台で名を売り込みたい。智辯学園では右の小畠一心も1年生ながら140キロを超え、左右両輪の活躍が期待されている。
昨秋の明治神宮大会で2本塁打をかっ飛ばした天理・瀬千皓もおもしろい。メガネがトレードマークでスター要素は抜群。同じく天理では、193センチの長身右腕・達孝太もまだ1年生。大器の片鱗を見せることができるか。
昨夏から智辯和歌山の4番を担う徳丸天晴も世代を代表する強打者。昨夏の甲子園では打率.200(15打数3安打)に終わっており、経験と成長を見せる機会になりそうだ。
文=落合初春(おちあい・もとはる)