まず、打撃陣を見ていこう。4月を終えた時点で主砲・筒香嘉智の本塁打はわずか1本。しかし、これはもう言うまい。夏に向けて、筒香は調子を上げてくれるはずだ。
今の筒香はチームバッティングに徹している。打率.275、12打点とトンネルを抜けかけている。特に打点は急激に伸ばしてきた。
4月は筒香がノーアーチの試合がほとんどだったが、ロペスと梶谷隆幸とが打線の中心となって牽引。ロペスは打率.333、4本塁打、21打点。梶谷は5本塁打の15打点と気を吐いている。
また、4月下旬に1軍昇格となった石川雄洋も奮闘。打率.333、得点圏打率.429と貢献。30日の広島戦では8回裏に決勝2ランを放った。二塁のレギュラー争いに打撃力でアピールしている。
打撃陣を見ると、昨シーズンにあって今ないものは筒香の本塁打と倉本寿彦の高打率といったところか。それ以外は順調といえる。
続いては投手陣をチェック。ローテーション投手のなかで、まだ、開幕した感がないのが井納翔一。ここまで4試合を投げ0勝2敗。対戦相手がすべて上位の3球団という巡り合わせはあるが、結果が出ていない。しかし、まだ本領を発揮できていないだけ。状況は好転するはずだ。
そして、昨シーズンの序盤同様、なかなか火がつかないのが今永昇太だ。昨シーズンはルーキーで9勝という好成績を収めたが、5月6日の広島戦までは好投が実らず、勝ち星に恵まれなかった。
今シーズンはここまで4試合に登板して、1勝2敗。防御率は4.28とやや物足りない。とはいえ、4月30日には広島の強力打線を1安打完封。完璧な投球でプロ初完封勝利を挙げた。
1勝を挙げている分、今シーズンの方がいいともいえるが……。一刻も早く「勝利のサイクル」に乗ってほしい。
DeNA浮上のカギを握るのは井納と今永だ。2人の調子が上がれば、Aクラスの一角に食い込めるだろう。
課題はあるものの、現在のDeNAには好材料も多い。成績が上向く材料が揃っている。開幕投手の石田健大、打率.302と奮闘していた宮崎敏郎の離脱は痛いところだが、現有戦力で十分にカバーできている。
まずは投手陣の復調が必須。好調な打撃陣との相乗効果で勝ち星を積み上げていきたい。
(成績は5月1日現在)
文=元井靖行(もとい・やすゆき)