補強の柱となるのが外国人選手だ。野手はバレンティンの去就に左右されるので、すぐに大きな動きはないだろう。グリーン、リベロに関しては、球団からのコメントとはまだなく、来季の去就は未定となっている。また、投手陣はブキャナンの契約更新が発表されているが、ルーキとギルメットは白紙。11月7日時点で来季の残留が決まっているのはブキャナンただひとりということになる。
近年のチーム状況を見ていると、ヤクルトは投手、特に中継ぎ陣に多くの外国人選手を配置している。だが、今季は深刻な得点力不足もあり、シーズン半ばからバレンティン、リベロと2人の野手を1軍登録。投手は2人体制となった。そこで、来季の方針はわからないが、方針に関係なく獲得を目指してほしい選手がいる。スワローズ愛に溢れる男トニー・バーネットだ。
バーネットは2015年のリーグ優勝時にはクローザーとして活躍。そのオフに「ヤクルト愛」からポスティング申請を行ってのメジャーリーグ移籍を目指した。結果的に、ポスティングによる移籍は叶わなかったが、その行動は多くのヤクルトファンの心を打った。
移籍先のレンジャーズでは、2年間で通算103試合に登板して9勝4敗、防御率3.75の成績を残し、今季終了後にFAとなった。今シーズンも50試合に登板しており、メジャーリーグ内での移籍が基本線だが、日本復帰も視野に入れているという。ヤクルトはぜひ獲得に向かってほしい。ネックは今季175万ドル(約2億円)という年俸だろうか……。
今シーズン、アストロズで日米通算2000安打を達成。その後、ブルージェイズ、メッツと渡り歩いた青木宣親もFAとなった。
今後、日本復帰を視野に入れながら日米各球団と交渉することになるが、日本復帰の可能性が大きい場合は、当然、ヤクルトも手を挙げるだろう。青木がメジャーリーグ移籍を果たした後も球団との関係は良好。2015年オフには山田哲人への背番号「1」の受け渡しを行い、昨オフは神宮球場創建90年イベントで始球式を行っている。
来季の外野陣は絶対的なレギュラーがおらず、復帰となれば中堅、左翼での起用が濃厚だ。となると、青木のネックは背番号「1」が空いていないことだろうか。イベントでもない限り、新旧の背番号「1」が共演することはないので、どちらかが「1」を譲らなければいけない。
今ドラフトで指名され、入団してくる選手の背番号はまだ発表されていないが、来季、背番号「23」は空き番号となることが濃厚。入団後の青木、山田が背負ったことで「ヤクルトの出世番号」とも言われている「23」だが、青木の復帰となれば山田が再び「23」をつけることになるのだろうか。
小川淳司SDが監督に復帰、宮本慎也氏がヘッドコーチとして引退後初めてユニフォームに袖を通すなど、新しい顔ぶれになった首脳陣。さらに、優勝時のクローザーだったバーネットが復帰し、応援歌で「世界に輝くNo.1」と歌われている青木が戻ってくる(きてほしい)。そして、今シーズンをケガで棒に振った川端慎吾、畠山和洋らの主力も復帰する。来季は、そんな完全体のヤクルトになることを期待したい。
文=勝田聡(かつた・さとし)