昨季の「ぶっちぎり優勝」よろしく、今季もダントツで優勝すると思われていたソフトバンク。しかしフタを開けてみると序盤こそ独走態勢を見せるも、夏場に失速。日本ハムにまさかの逆転優勝を許した。まずはV逸の原因から考えてみる。
打撃陣では李大浩が抜け、柳田悠岐や松田宣浩が昨季以下の成績にとどまったが、それでもチーム成績が極端に落ち込むことはなかった。これは厚い選手層のたまものだろう。
しかし数々の日替わりヒーローが生まれた昨季と違い、今季、目立ったのは城所龍磨くらいだったことから、波に乗れなかったという印象が強い。
投手陣に関しては、メジャーリーグ帰りの和田毅や千賀滉大のブレイクで先発陣は固まったものの、盤石と思われていたリリーフ陣が不安定さを露呈。昨季は誰かが不調でもそれをカバーする選手が現れたが、今季に至っては夏場にチーム全体にガタが出たため、立て直しが困難に。あらためて勝ち続けることの大変さを思い知らされた。
ここ2年のドラフト戦略は「将来性重視」。指名した11人中10人が高校生だったが、これは戦力に余裕があったが故にできたことであり、3年も続けると選手構成のバランスが悪くなる。
今季は、まずは「先発に厚みを持たせる即戦力投手」というポイントから田中正義(創価大)狙いが現実的だろう。
それから、やや陰りの見えテコ入れが必要な中継ぎ陣、複数の選手が併用される捕手、左と比べて少ない右打ちの外野手も補強ポイントと考えたい。
田中を獲得できたとしてもできなかったとしても、3軍制度を生かした育成力に定評のあるソフトバンクが最優先で狙ってほしいのが、中塚駿太(投手・白?大)だ。
すでに150キロ超の速球を連発しているが、その体格から160キロ投手にもなれるポテンシャルを秘めている。主戦格としての経験のほとんどない中塚を育て上げることができれば投手層がより厚くなるうえ、アマの選手がより入団したくなる球団になるはずだ。
文=森田真悟(もりた・しんご)