西武のそっくりコンビと言えば中村剛也と山川穂高だ。顔は似ていないが、とにかくぽっちゃりフォルムが瓜二つ。そしてホームランバッターという部分も共通項だ。
これまで6回のホームラン王を獲得している中村。これは王貞治氏の15回、野村克也氏の9回に次ぐ歴代3位の偉業。もはや歴史的長距離砲と言っても過言ではないだろう。
今季の中村は、股関節の故障などもあってフル出場はできていないものの、9月21日までに21本塁打を放っている。
対する山川は、2013年のドラフト3位入団した3年目の選手。その見た目もあって、入団当時から「おかわり2世」として期待されていたが、ルーキーイヤーの2014年にはイースタン・リーグで21本塁打を放ちホームラン王を獲得。今季は、開幕1軍に抜擢され、途中で2軍落ちはあったものの、14本塁打を記録している。
チーム内の本塁打数を見ると、メヒアの35本塁打が最多で、中村の21本塁打は浅村栄斗と並び2位タイ。そのあとの4位に山川の14本塁打という順番になる。
山川以外の3人は100試合以上出場しているのに対し、山川は44試合の出場でこのホームラン数。来季以降、年間を通して1軍に定着できれば、まだまだ本塁打数を伸ばせそうだ。
広島ではそっくりトリオとして、大瀬良大地、今村猛、一岡竜司の「カピバラ三兄弟」がファンの間でも有名。球団はオフィシャルグッズとして「カピパラ三兄弟」のTシャツを制作し、人気バラエティ番組『アメトーーク』の「カープ芸人」の回や、地元テレビ局でもこのネタが紹介されている。
大瀬良は、自身の著書『大瀬良大地メッセージBOOK ー大地を拓くー』(廣済堂出版刊)の中でもこう述べている。
「僕ら3人で投手リレーをした試合なんか、投手陣みんなから『カピバラリレーだな』と一斉にツッコまれたのを覚えています」
また、同書内でコメントを寄せている一岡も、「『大瀬良さん、サインください!』と言わないでください」と、ファンからよく間違えられることを明かしている。
本家のカピバラは、大型のネズミの仲間で、癒し系のルックスが人気。三兄弟も顔はもちろん、どこかほんわかとした雰囲気を漂わせている点も似ている。
今季、大瀬良と一岡は、故障もあってシーズン後半からのチーム合流となったが、今村は60試合以上登板し、中継ぎの中心的存在としてフル稼働。ポストシーズンで「カピパラリレー」が実現するかどうか、注目だ。
オリックスのそっくりコンビは、金子千尋と青山大紀だ。
金子は、最多勝を2度も獲得するなど、もはや説明不要のオリックスの大看板。一方の青山は、2015年のドラフト4位で入団したルーキーだ。
同じトヨタ自動車出身の投手ということで、「金子2世」の呼び声も高かったが青山だが、その投球フォームは、もはや完全コピーといってもいいレベルだ。
細身の体形からゆったりと腕を下げ、一気にリリースまでもっていくしなやかなスタイルは、背番号を隠して後ろから眺めれば、おそらく見分けがつかないのではないか。
青山は、9月20日の西武戦に先発として1軍デビューするも、四球や失策も絡み4回4失点で敗戦投手となり、2軍へ逆戻り。苦難の船出となってしまったが、心配はいらない。2006年、先輩の金子もリリーフで7試合登板したあとの7月1日の初先発では、同じ西武相手に4回7失点と炎上。その洗礼を浴びて大きく成長したのだから。
低迷するオリックスを、トヨタ出身コンビで救えるか。来季以降の金子の復活と青山の成長に期待したい。
文=藤山剣(ふじやま・けん)