その集客力の一端を担っているのが、初日からキャンプに参加しているOBの松井秀喜臨時コーチだ。今キャンプ最初の日曜日となった2月7日には、グラウンドであいさつに立った高橋由伸新監督から、スピーチのリクエスト。それに、苦笑いを浮かべながらも応えた松井臨時コーチ。
「今日は本当にたくさんのファンのみなさまがお越しくださり、ありがとうございます。小さいお子さまは『あなたは誰なんだ?』と思っていると思います。一応、昔、ジャイアンツの選手だったんです。そして、高橋監督とチームメイトでした」
と、まずは自虐ネタで観客の心を掴んだ。そして、
「この宮崎で、ジャイアンツの選手たちの成長少しでも手助けできるように、臨時コーチとして来ました。ジャイアンツは今年、新しいスタートを切ります。そして、去年は優勝を逃しました。今のこの状況を謙虚な気持ちで受け止めて、これから頑張ってくれると信じております」
と、後輩たちへもエール。スタンドのファンからは大きな拍手が送られた。
松井臨時コーチの「任期」は2月14日まで。ニューヨーク・ヤンキースの公式サイトにも、コーチのリストに「Special Advisor to General Manager」(GM特別アドバイザー)として名前が掲載されているように、おそらくこのあとは渡米して、海外の選手も指導することになるのだろう。
そんな松井氏への懸念がひとつだけある。それは臨時コーチとしてキャンプに参加したここ2年、巨人はいずれもクライマックス・シリーズの第2ステージで敗退していることだ。
「松井が臨時コーチに来たら、日本シリーズに行けない」
などといったよからぬジンクスが定着する前に、今年こそ巨人ナインは奮起しないといけない。
文=藤山剣(ふじやま・けん)