早くからグラウンドに来て遅くまで練習する。野球に対する真摯な姿勢を工藤公康監督が評価し、キャンプMVPに選んだのが西田哲朗と甲斐拓也だ。
西田は楽天から移籍して心機一転、気合いが入っている。オープン戦では内野の複数ポジションに就き、全8試合に出場。打率.238(21打数5安打)とここ2試合でやや打率を下げたが、二塁打が2本と長打が出ており、盗塁も決めるなど奮闘中だ。代走や守備固めなど、あらゆる場面で可能性を試されている。
キャンプでのはつらつさのままに侍ジャパンに合流し、オーストラリア戦に臨んだ甲斐。1戦目でスタメン出場し、打撃は2打席凡退ながら守備では失点を許さず、チームの勝利に貢献した。ソフトバンクは高谷裕亮をはじめ捕手に故障者が続出しており、甲斐に頼らざるを得ない。オープン戦では6試合に出場し、打率.417(12打数5安打)と好調。いい状態をキープしたい。
なお、ソフトバンクはオープン戦8試合を消化して2勝5敗1分の10位。
梨田昌孝監督は、沖縄・久米島での一次キャンプのMVPに岡島豪郎、西巻賢二を選んだ。岡島は選手会長としてチームを引っ張り、また有事の際のバックアップ捕手としての練習にも積極的に取り組む姿勢が評価された。高卒ルーキーの西巻賢二(仙台育英、ドラフト5位)は故障者が出たため急遽1軍に招集されたものの、しっかりと練習メニューについてきたことが選出理由となった。
岡島のオープン戦の成績は8試合で打率.240(25打数6安打)。西巻は8試合で打率.250(12打数3安打)とまずまずの成績で、高校時代から定評のあった守備も安定している。開幕1軍もあるか。
チーム自体は6勝3敗で4位につけている。
福良淳一監督はキャンプでのMVPを「いない」とバッサリ。とくに若手に熱い気持ちが感じられないことに物足りなさを覚えたようで、福良流の叱咤激励を込めてキャンプを振り返った。
そんな状況だが、オープン戦ではドラフト8位ルーキーの山足達也(Honda鈴鹿)が8試合で打率.350(20打数7安打)と好調。内外野を守れるユーティリティープレーヤーで足も速い。若手から目立つ選手が出てきてチーム内の競争が活性化すれば、福良監督もニンマリだろう。
チームは8試合を消化して3勝4敗1分で8位。
西武、日本ハム、ロッテのキャンプMVPは公表されていない。オープン戦の動向と気になる選手の様子を見てみよう。
西武は9試合を戦って5勝4敗の7位。山川穂高が打率.094(32打数3安打)とスランプに陥っているのは心配だ。
日本ハムは9試合で4勝3敗2分の5位。昨季、打率4割をキープしたまま故障で離脱した近藤健介が、オープン戦でも8試合で打率.471(17打数8安打)。今季こそ、夢の4割打者を目指したい。2年目の森山恵佑も6試合で打率.353(17打数6安打)と台頭してきた。
ロッテは8試合で5勝2敗1分と好発進。2位につけている。3月6日の巨人戦では、復活を期す石川歩が3回を投げて1安打無失点。井口資仁新監督をひと安心させた。
文=藤山剣(ふじやま・けん)