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白熱するパの本塁打王争い!優勝の勢いで楽天の助っ人コンビが上位に進撃!

【週間詳報】2013プロ野球投打タイトル争奪戦―今、現場で何が起こっているのか?
【激闘を振り返る! 先週のタイトル争いをダイジェストで紹介!!】(9月17日〜23日)

3位・マートンが固め打ちで一気に抜け出す(セ・リーグの「最多安打」)

 混沌としていたセ・リーグの最多安打争いで、マートン(阪神)がスパート。出場停止処分がいい休養になったのか、17日(火)から22日(日)までの5試合で22打数13安打と大当たり。球団新記録の4試合連続猛打賞を記録しました。17日には.300まで落ちた打率も.315まで急上昇。

 三つ巴状態だった村田修一(巨人)、ブランコ(DeNA)は同じ期間でそれぞれ5安打、0安打。ブランコは2試合の出場に留まったこともあり、一気に突き放される形に。そんな中、長野久義(巨人)が17打数9安打とよく打ち、マートンと9本差の第3位に浮上。昨年、一昨年のタイトル獲得者が一気にピッチを上げてきました。巨人の優勝も決まった今、村田、長野の追い上げによっては、阪神はマートンを1番として起用してくる可能性もありそうです。

☆セ・リーグの「最多安打」争い(9月22日時点)
1位 マートン(神) 162(+13)
2位 村田修一(巨) 154(+5)
3位 長野久義(巨) 153(+9)
4位 ブランコ(D) 148(+0)
5位 坂本勇人(巨) 142(+3)
※ ( )内は9月16日終了時点からの変動

2位・小川が3連勝。前田健に食らいつく(セ・リーグの「最多勝」「勝率第1位賞)

 1勝しかできなかった8月を抜け、再び勝ち運に恵まれ出した小川泰弘(ヤクルト)が3連勝で15勝目を記録。22日(日)は5失点し7回途中で降板しながら、勝ち星を稼いでしまうあたり、“持っている”と言わざるを得ません。

 ただし、小川を追いかけて並んだ前田健太(広島)の勢いはかなりのもの。21日(土)に15勝目を挙げ、これで7月14日から11試合負けなしの9連勝。相手チームのエースクラスに投げ勝つことで、チームの浮上を支えてきました。この間の防御率は驚異的の1.13を記録しています。

 残り試合は広島が9試合、ヤクルトが13試合(9月22日終了時点)。CS出場が濃厚な広島は、その日程との兼ね合いで前田健の登板が決まって来そう。ただ新人の小川は、前田に比べ登板間隔を長くとってきたこともあり、登板機会は互いに同じ2試合と見られます。「負けたほうが脱落」の状況はまだ続きます。

 なお、両投手が未勝利でシーズンを終えた場合は、現在13勝の内海哲也と菅野智之(ともに巨人)の2人にもチャンスが生まれます。

☆セ・リーグの「最多勝」争い(9月22日時点)
1位小川泰弘(ヤ)   15勝(+1)
1位前田健太(広)   15勝(+1)
3位内海哲也(巨)   13勝(+1)
3位菅野智之(巨)   13勝(+1)
5位メッセンジャー(神)11勝(+0)
5位杉内俊哉(巨)   11勝(+0)
※ ( )内は9月16日からの変動

☆セ・リーグの「勝率第1位投手賞」争い(9月22日時点)
1位 小川泰弘(ヤ)
→15勝4敗 .789(↑.011)
2位 前田健太(広)
→15勝5敗 .750(↑.013)
3位 内海哲也(巨)
→13勝5敗 .722(↑.016)
3位 菅野智之(巨)
→13勝5敗 .722(↑.016)
5位 杉内俊哉(巨)
→11勝4敗 .647(↓.041)
6位 野村祐輔(広)
→10勝6敗 .625(↓.041)
※( )内は9月16日終了時点からの変動

1位・マギー、ジョーンズが急追。逆転なるか?(パ・リーグの「本塁打王」)

 現在パ・リーグトップの28号本塁打は、8月20日に中田翔(日本ハム)が、9月6日にアブレイユ(日本ハム)が記録。中田は骨折で離脱、アブレイユは不振に陥ったことで頭打ち状態が続いています。アブレイユが28号を打った時点で3位につけていた浅村栄斗(西武)も、約2週間で1本。セ・リーグでバレンティンが本塁打を連発するのとは対照的に、パの長距離砲は苦戦しています。

 この状況でコンスタントに本塁打を重ねてきたのが、マギーとジョーンズ(ともに楽天)。9月に入りマギーは4本打って26本、ジョーンズは6本打って25本。キングの座が射程圏に入ってきました。楽天は14試合を残しており(9月22日終了時点)逆転の可能性は十分。楽天のリーグ初優勝に花を添える、タイトル奪取への期待が高まります。ジョーンズは先週1週間で2本塁打を打つ一方で、8四球を選んで出塁率を.386から.396へと上げており、これも驚異的。狙い球を絞り確実にスタンドに運んでいるのがわかります。一流メジャーリーガーの技がここにきて光っています。


▲ジョーンズ(楽天)

 現在トップの中田は20日(金)に検査を受けましたが状況は悪く、22日(日)に予定されていた復帰は見送られました。今季中の復帰が実現すれば、本塁打王争いの状況はまた変わってきます。こちらの動向も気にしておきたいところ。

☆パ・リーグの「本塁打王」争い(9月22日時点)
1位中田翔(日)  28(+0)[+0]
1位アブレイユ(日)28(+0)[+1]
3位マギー(楽)  26(+1)[+4]
4位浅村栄斗(西) 25(+0)[+1]
5位ジョーンズ(楽)25(+2)[+6]
※ ( )内は9月16日終了時点からの変動
※ [ ]内は9月に入ってからの変動

<その他のタイトルがらみニュース>

 日本ハムの中継ぎ陣の追い上げが期待されたパのリリーフタイトルは、チームが1勝5敗と不調であったこともあり差は縮まらず。最多HPは佐藤達也(オリックス)が、最多セーブは益田直也(ロッテ)の逃げ切りが濃厚。先発陣では田中将大(楽天)の奪三振数がついに金子千尋(オリックス)に並び、タイトル総ナメにリーチ。

 長谷川勇也(ソフトバンク)の200本安打にも期待が集まります。9月に入り1試合平均で1.5本強の安打を打っている長谷川。現在185安打で、残り10試合(9月23日終了時点)もそのペースで打てれば、ギリギリ届く計算。

 セでは打撃三冠を狙うバレンティン(ヤクルト)が、ライバルのブランコ(DeNA)が欠場する隙に、打点を3つ差にまで詰めました。投手三冠を唯一狙える前田健太(広島)は最多奪三振で黄色信号。メッセンジャーが17日(火)の登板で9三振を奪い、2位以下を引き離しています。


【見逃したら後悔必至! 今週の注目カードはこれだ!!】(9月24日〜30日)

3位・ロッテvs楽天(27日/QVCマリン)
ロッテ戦に強いジョーンズのホームランに期待


 ジョーンズはロッテ戦で7本塁打。9月10日から11日の首位攻防3連戦での2本塁打も記憶に新しい。1試合だけだが一発の予感も。マギーも本塁打や打点が稼げればタイトルが近づく。

 ロッテはチームとして今季唯一のタイトルとなりそうな、益田直也の最多セーブ獲得をサポートできる展開にしたい。

2位・中日 vs阪神(28〜29日/ナゴヤドーム)
マートン、鬼門の中日戦をどう切り抜けるか


 最多安打に向けてスパートしたマートン(阪神)に最後に立ちはだかる中日戦。対戦打率が.256と唯一の2割台で、ナゴヤドームだとさらに下がって.244。あまり効率的に安打が出ていない。ここで停滞すると、村田修一、長野久義(ともに巨人)の追い上げにあう可能性もまだ残る。

1位・ヤクルトvs広島(28日/神宮)
前田健太の登板は? ヤクルト打線の意地見たい


 広島はこの前のカード(対中日)の第3戦(26日)で、中4日で前田健太が登板しなければ、中6日でこのヤクルト戦に登板する可能性が高い(へんとう炎で38度の熱で21日に登板した休養と4位とある程度離れているため、次回登板は未定との報道もある)。小川に最多勝と勝率第1位を獲らせるためには、前田に負けをつけるのが最も効果的。ヤクルト打線の奮起に期待がかかる。

 ただ、前田健のヤクルト戦の防御率は4点台、中日戦は23イニングを投げて自責点ゼロ。相性から言えば中日戦での登板がいいと思うのだが……。


■ライター・プロフィール
文=秋山健一郎(あきやま・けんいちろう)…1978年生まれ、東京都出身。編集者。担当書籍に『日本ハムに学ぶ勝てる組織づくりの教科書』(講談社プラスアルファ新書)、『プロ野球を統計学と客観分析で考えるセイバーメトリクスリポート1、2』(デルタ、水曜社)など。

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