これまでの一般的な鼻腔拡張テープは、その名のとおり、貼りつけたテープの張力により鼻の奥の通り道である鼻腔を拡げ、呼吸しやすくさせるものだった。ところが、『セントテーピング』はこれに加えて、プレイヤーのパフォーマンスを香りによって向上させる働きが含まれている。それが大きな違いだ。
香りのタイプは用途に応じてふたつある。ひとつは集中力を引き出す『エクストラフォーカス』、もうひとつはリラックスさせる『エクストラリラックス』。その効果については、当日の発表で監修者の古賀良彦名誉教授(杏林大学医学部)が以下のように解説した。
■『エクストラフォーカス』
・前頭葉の血流が無香の鼻腔拡張テープと比較して約7倍アップ(男女8名による)。
・エアロバイク10分間における走行距離は無香の鼻腔拡張テープと比較して約330メートルアップ(男女28名による)。
【結果】持続力が向上する傾向
■『エクストラリラックス』
・前頭葉の血流が無香の鼻腔拡張テープと比較して約6倍アップ(男女8名による)。
・体座位前屈の測定結果が無香の鼻腔拡張テープと比較して約2センチアップ(男女27名による)。
【結果】柔軟性が向上する傾向
香りが違うだけで、これほどの効果や違いがあることに驚かされる。これまで、人間の持つ五感においてスポーツに関係するものとしては、視覚、触覚がメインで、野球においては打球音などの聴覚が交じるくらいであったが、どうやら“嗅覚”が本格的に加わってくる! そんな強い印象を受けた。
『セントテーピング エクストラフォーカス』を鼻に装着した状態で会見に登場した宮崎は、こうした香りによる効果について、以前から感覚的に察知していたそうだ。元々においに対する興味があり、プロ入り後は「気持ちを落ち着かせるために活用していた」と話す。昨年までは、手首にテーピングを巻いて好きなにおいの香水を吹きかけておき、打席に立っているときや守備の際にそのにおいを鼻にとどめるようにしていた。いわゆる、ルーティーンの一環である。
『セントテーピング』の効果について質問されると、次のように話した。
「(今も)ムチャムチャにおいますよ。自然に入ってくる感じです。どんなにおい? ……よくわからないです(笑)。僕のなかでは落ち着くにおいです。まあ、ミントのようなにおいですね。打席や守備のときはひとりなので、シーズンを通してベストなパフォーマンスに持っていけるという意味で、においは大切だと思います」
また、鼻腔拡張テープを使用する場合、装着感も気になるところ。特に夏場はプロ・アマに限らず大量の発汗により、ほどなくはがれてしまうケースも少なくない。
だが、その点ついても宮崎が太鼓判を押す。
「粘着力は強いですよ。僕は汗かきですけど、練習ではがれてしまったことはないですね」
ちなみに、アマチュア野球界では通常の鼻腔拡張テープはすでに波及しており、甲子園でプレーする高校球児が装着している姿もよく目にする。野球の道具というのは、良くも悪くも流行り廃りがあるもの。本来の呼吸の通りを良くするだけでなく、“香りによるパフォーマンス向上”という新たな要素が加わるとなると、ムーブメントが巻き起こる可能性はある。
今シーズン、宮崎がブレイク翌年の“2年目のジンクス”を打ち破って引き続き高いパフォーマンスを見せつければ、「いつも鼻につけているあのテープはなんだ!?」と注目が集まるに違いない。
今シーズン、「練習でも試合でもつけるつもり」と話す宮崎も、今後の反響を予期する。
「(チームメイトなど)みんなに『なにそれ?』とは聞かれるでしょうね。『つけてみたらわかるよ』と言います」
果たして、「スポーツと香り」の新たな波は到来するのか?
注目される『セントテーピング』は3月3日から発売される。