2010年、真弓明信監督時代の阪神からは、鳥谷敬:104打点、新井貴浩:112打点、グレイグ・ブラゼル:117打点という100打点トリオが生まれた。
これは昨季まで阪神に在籍していたマット・マートンと、平野恵一の1・2番コンビが揃って打率3割5分と打ちまくり、それをクリーンナップがしっかりと還すという、お互いの仕事を全うした結果だ。
ちなみに阪神からは、1985年にバース、掛布雅之、岡田彰布という100打点トリオが生まれている。しかし2010年のトリオは、当時の半分くらいのホームランで100打点に達したのが特筆すべき部分だ。
またマートンと城島健司が、ともにあと9打点を稼いでいれば、100打点クインテットが誕生していた。非常に惜しい。
盗塁の代名詞と言えば阪急の福本豊。しかし、チームぐるみでの盗塁というと、1985年の大洋(現DeNA)が生み出した「スーパーカートリオ」が挙がる。
高木豊:42盗塁、加藤博一:48盗塁、屋鋪要:58盗塁で、合計148盗塁。「1チームから2人がそれぞれ40盗塁」は、それこそ阪急が日常茶飯事のように決めていたが、「1チーム3人でそれぞれ40盗塁」は、後にも先にもこの時の大洋だけ。
ただし、意外にもこの年の盗塁王は、広島の高橋慶彦が獲得している。
継投のトリオとして挙がるのは、2007年の阪神が擁した「JFK」。
ジェフ・ウィリアムス:42ホールド、久保田智之:46ホールド、藤川球児:46セーブと、3人が40個以上のホールドとセーブを達成。まさに鉄壁、いや完璧な勝利の方程式を確立した。実働は2005年から2008年の4年間だったが、プロ野球界に与えた影響は計り知れない。
ちなみにJFK以降、ロッテの薮田安彦、藤田宗一、小林雅英のそれぞれの頭文字をとった「YFK」を筆頭に、勝ち継投には、その投手の頭文字を合わせることも主流になった。
実は昨年もさまざまなトリオが誕生していた。日本ハムの大谷翔平(15勝)、吉川光夫(11勝)、ルイス・メンドーサ(10勝)の「2ケタ勝利トリオ」は、前田健太(15勝)、クリス・ジョンソン(14勝)、黒田博樹(11勝)を擁した広島でも誕生。
変わり種としては、ヤクルトから山田哲人(本塁打王)、川端慎吾(首位打者)、畠山和洋(打点王)の「主要打撃タイトル獲得トリオ」も飛び出した。これはめったにお目にかかれるものではないので、記録だけでなくファンの記憶にも残り続けるだろう。
今年のプロ野球ではどんなトリオが生まれるのか、そう思うと開幕が待ち遠しい。
文=森田真悟(もりた・しんご)