『野球太郎』がDeNAの補強ポイントに挙げたのは「即戦力投手」、「右打ちの内野手・スラッガー」、「右打ちの外野手」、「次世代の高校生投手」、「高校生の二遊間」だった。「即戦力投手」から順に指名結果を見ていこう。
今季はルーキー左腕の今永昇太が8勝を挙げ、規定投球回には届かなかったが防御率も2点台と即戦力にふさわしい活躍を見せた。また2年目の左腕・石田健大が9勝を挙げ飛躍の1年となった。
若手の先発投手が出てきたが、チームで唯一の2ケタ勝利を挙げた山口俊がFA権の行使を決断。チームを去る可能性がある。となると先発ローテーションにさらなる厚みがほしい。
「即戦力投手」という点では1位指名の左腕・濱口遥大(神奈川大)と2位指名のサイド右腕・水野滉也(東海大北海道=写真)が当てはまる。
濱口は最速151キロのストレートに加えスライダー、カーブ、チェンジアップなどの変化球を操る。とくにストレートとチェンジアップによる緩急をつけたピッチングは魅力だ。制球力に難があるが、改善できれば先発ローテーションの一角としても期待できる。
水野は最速147キロのストレートに加えスライダー、シンカー、フォークを操る。大学では先発の投手だったが、今夏の日米大学野球選手権ではリリーフとして登板し、適性も見せた。
また下位指名ではあるが6位の最速150キロ右腕・尾仲祐哉(広島経済大)と8位の最速153キロのサイド右腕・進藤拓也(JR東日本)は中継ぎの即戦力として期待される。
尾中は気持ちが強く、打者に向かっていく姿勢はプロ向き。中継ぎにピッタリだ。進藤はフォームをサイドスローに変えたこともあり制球力に不安があるが、実力は十分。ハマれば面白い。
これらの投手たちが来季どれだけ活躍できるのか。DeNAの順位に響いてきそうだ。
外野陣は本塁打と打点の2冠王に輝いた筒香嘉智を筆頭に、今季ブレイクした桑原将志、梶谷隆幸と充実している。内野陣を見ると宮崎敏郎と倉本寿彦がブレイク。二塁手と遊撃手は埋まったが、三塁手は固定できていない。
「右打ちの内野手」に関しては3位で松尾大河(秀岳館高)、7位で狩野行寿(平成国際大)を指名。
ともに遊撃手で50メートル走は5秒9の俊足。パワーも兼ね備え、強肩で守備もいい。同じタイプの内野手だ。
まずは早い時期に狩野が1軍での出場機会をつかみ、その後、順調に経験を積んだ松尾が出てくれば、チームにとっても嬉しい悩みとなる。遊撃手のレギュラーには倉本がいるため、場合によっては松尾、狩野がコンバートの可能性もあるか?
「右打ちの外野手」として細川成也(明秀学園日立高)を5位で指名。高校通算63本塁打の長距離砲だ。パンチ力ある打撃は将来の4番候補と評される。高校時代は投手としても最速146キロのストレートをマークしただけに、強肩も威力を発揮するだろう。プロでの成長が楽しみでならない。
「次世代の高校生投手」という点では4位で京山将弥(近江高)を指名。京山は細身の体ながらノビのある最速147キロのストレートに加えカットボール、スライダー、チェンジアップを操る。ストレートは低めに決まり、制球力もある。身体ができてくれば更なるレベルアップが見込め、成長が楽しみな投手だ。数年後の先発ローテーション入りにも期待がかかる。
「高校生の二遊間」という点では補強ポイントA「右打ちの内野手・スラッガー」で紹介した松尾が、ここにも当てはまる。
【総合評価】73点
今季は悲願のCSも果たしたDeNA。この勢いに乗って、来季、またその先に向けて戦力を充実させていきたいところ。
今回のドラフトでは濱口、水野、尾中と即戦力に成り得る大学生投手を指名。この2年間は大卒ルーキーの石田、今永が活躍しただけに、来季も大卒ルーキーの活躍に期待したい。
松尾、細川と評価の高かった高校生野手を指名できたのも今後に向けて大きい。数年後、彼らがレギュラー争いに食い込む成長を遂げれば、DeNAの未来は安泰だろう。
即戦力、将来性ともに魅力的なドラフトになったと言える。
文=山岸健人(やまぎし・けんと)