もともと打撃は期待薄で、守備固め・代走要員として活躍していた城所龍磨(ソフトバンク)。しかし、昨季の交流戦で打率.415、5本塁打、12打点、6盗塁という突然変異の大活躍でMVPに輝いた。イチロー(マーリンズからFA)が身につけていたり、思いがけないバットでの活躍により、Tシャツ、タオルなどのグッズに銘打たれた「キドコロ待機中」のフレーズが浸透し、知名度は大幅にアップした。結局、シーズンを通してキャリアハイの162打席に立ち、打率.264をマーク。その勢いのままに今季もスタメン定着を目指しのだが……わずか2試合の出場に終わり、3打数ノーヒット。シーズンのほとんどを2軍で過ごし、結果を残せなかった。
しかし、2連敗で迎えた楽天とのCSファイナルステージ第3戦でスタメンに抜擢。2安打、1犠打と2番打者としての役割を果たし、悪い流れを断ち切る働きを見せた。日本シリーズにも出場し、最後の最後でなんとか面目を保ったかっこうだ。
来季は2年契約の2年目、勝負の年だ。「待機中」ではなくスタメン定着を目指したい。
中京大中京高時代にはエース兼4番で臨んだ2009年夏の甲子園で優勝に輝き、同年のドラフト2位で広島に入団した堂林翔太。3年目の2012年は全試合出場を果たすなど広島の将来を担う逸材と目されていた。2013年には野村謙二郎監督(当時)が現役時代に背負っていた背番号「7」を与えられている。ルックスのよさもあり「プリンス」と呼ばれ、人気も期待もうなぎ登り。まさに堂林は「広島の未来」だった。
しかし、打席数は2012年から554、410、330、73、60、54と激減。当初の三塁だけでなく、一塁や外野でも出場機会をうかがうものの、結果はついてこない。三塁は安部友裕、一塁と左翼は新井貴浩、エルドレッド、バティスタ、松山竜平と越えなければいけない壁は高く、現状、跳ね返されている。
しかし、リーグ4位の打率.310とブレイクした安部は、今季が高卒10年目のシーズンだった。来季が高卒9年目となる堂林にもまだチャンスはあるはず。プリンスの目覚めを待ちたい。
2013年ドラフト5位で愛知が誇る私学4強の一角、東邦高からDeNAへ入団した関根大気。イケメンの関根はSNSなどで「関根きゅん」と呼ばれ、一部での人気は非常に高い。もちろん、プレー面での期待も大きく、2年目の2015年は55試合、2016年は70試合と出場機会を増やしたが、今季はわずか29試合の出場に留まった。
関根が競うDeNAの外野には筒香嘉智、梶谷隆幸、桑原将志がレギュラーとして君臨。乙坂智、荒波翔らが控えにおり、期待のスラッガー・細川成也もいる。さらにはドラフト2位で即戦力候補の神里和毅(日本生命)が入団した。関根がレギュラーになるには、彼らとの競争を勝ち抜かなければならない。
幸いラミレス監督は若手にも多くのチャンスを与えるタイプだ。桑原は昨季からのチャンスをものにし、今季はレギュラーの座を奪った。関根もまずは2軍で結果を残し、桑原同様にチャンスをつかみたい。
文=勝田聡(かつた・さとし)