楽天のオコエ瑠偉に目指してもらいたいのは、やはり新庄剛志(元阪神ほか)だろう。新庄の何をやっても話題になるスター性を引き継げるのは、プロ野球界広しといえども、今はオコエしかいない。
走塁と守備に秀でたプレースタイルはもちろん、またバッティングでも昨夏の甲子園・準々決勝で勝ち越しのホームランを打つなど、ここぞというところで周囲を驚かせることができるのは、“もってる”証拠だろう。
敬遠球を打て、とまではいかないが、持ち前のセンスに磨きをかけて、オコエ劇場の幕を開けてほしい。
身長176センチ、体重95キロ。本家よりも、やや身長が大きく体重は少ないが、奥浪鏡(オリックス)が連想させるのは西武の中村剛也。
もちろん似ているのは体型だけでなく、ファームながら2年連続でチームトップのホームランを打っている打棒。1年目は7本、2年目は8本と着実に力を付けている。まだ1軍デビューはしていないが、今年こそぜひ見てみたい好素材だ。
ちなみに50mを6秒3で走るところも、おかわりくんと一緒。「動けるデブ」の今後に、大いに期待したい。
一昨年、山田哲人(ヤクルト)が持っていたイースタン・リーグの高卒新人安打記録が更新された。塗り替えたのは、日本ハムの岸里亮佑。2013年、花巻東からドラフト7位で指名され、プロ入りした外野手である。
高校時代は最速146キロを誇るピッチャーとしても評価を受けていたものの、俊足と肩を生かして、現在は外野手としてプレー。攻守に秀でたドラフト下位の好素材ときたら、目指すところはただ一つ、イチロー(マーリンズ)だ。
昨季はファームでルーキーイヤーのような活躍ができず、一度も1軍に上がることができなかった。しかしデビュー戦で3打数2安打したのだから、潜在能力は間違いない。日本ハムの外野陣は層が厚いが、ぜひとも突き抜けてほしい。
「目標を決めることは、限界を決めること」。そういった考えを、耳にすることがある。しかし、目指すものが見つかると、自分の進むべき道が分かりやすくなるはずだ。
また、自分と境遇の似たプレーヤーは、「自分は今、何ができて何をすべきか」を理解するのにもとても役立つ。参考にすることで自分の立ち位置が明確になるので、努力の方向性を見失わないようにできるからである。
今回挙げた3選手の完成形は、簡単にたどり着けるものではない。しかし、だからこそ目指しがいがある。いつか彼らが、先人を超えたと思える日が来ることを、楽しみに待っていたい。
文=森田真悟(もりた・しんご)