オリックスは、ドラフトでのクジ運がすこぶる悪い。2005年から11連敗というひどい結果だ。最近3年は競合を避け、一本釣りの指名に成功している。
だが、今年は投手の大豊作年。1位指名が重複してクジを外したとしても、「外れ1位」でよい選手を指名できる可能性が高い。だから今年のオリックスのドラフトは、久しぶりにクジ引きになるのではないかと予想された。
オリックスの1位指名候補には、創価大の田中正義、桜美林大の佐々木千隼、明治大の柳裕也、履正社高の寺島成輝らの名前が挙がっていた。このなかでも、ファンの間では寺島を望む声が多かったようだ。
寺島は地元関西の選手であるし、履正社高はT-岡田の出身校でもある。やはり現在所属する選手に関係のある選手を応援したいのが、ファン心理だろう。
しかし、福良淳一監督が望んだのは即戦力投手。開幕カードで投げられる投手ということで、田中と迷った末に指名したのが、社会人ナンバーワン投手・東京ガスの山岡泰輔だった。
山岡にも重複指名があるかと思われたが、結局のところ重複せず、またしても一本釣りという結果に終わった。今年こそクジ引き連敗をストップするシーンを見たかったが、残念ながらかなわなかった。
2巡目の指名は、いの一番に指名ができるオリックス。2位は立正大の投手・黒木優太を指名。社会人、大学生と2名の即戦力投手の指名ができ、ほぼチームの思い通りのドラフトになったのではないだろうか。
最終的にはドラフトで9名を指名した。投手6名、捕手、内野手、外野手がそれぞれ1名の投手を中心とした指名。カテゴリー別では高校生4名、大学生2名、社会人3名とバランスよく指名した。
育成ドラフトでは投手2名、捕手、内野手、外野手がそれぞれ1名で、高校生1名、大学生3名、独立リーグ1名という指名だった。
ただ、投手6名は全て右投手。育成の2名の投手も右投げだ。1人ぐらい左投手を指名してもよかったのではないかと思う。
ドラフト指名した選手達を、少しちがう角度から見てみよう。
ドラフト指名選手の名前を見ると、「すけ」とつく選手が多い。1位・山岡泰輔、3位・岡崎大輔(内野手・花咲徳栄高)、5位・小林慶祐(投手・日本生命)、7位・飯田大祐(捕手・Honda鈴鹿)、8位・澤田圭佑(投手・立教大)と5名もいる。山岡には、昨年のドラフト2位の近藤大亮とともにダブル“たいすけ”で来季の新人王を争ってほしい。
身長・体重を見てみると、最も背が高いのが188センチの6位・山崎颯一?(投手・敦賀気比高)だ。吉田一将の191センチに匹敵するほどの高身長。将来が楽しみだ。
逆に最も背が低いのが育成4位・坂本一将(内野手・BCリーグ/石川ミリオンスターズ)の162センチ。西野真弘の167センチよりも低い。身長では目立たないが、ガッツあるプレーで目立ってほしい。
最も巨漢なのが澤田圭佑(投手・立教大)の178センチ90キロという体格だ。ちなみにBMI(※)を計算すると28.4で、「肥満度1」ということになる。よく似た体型に奥浪鏡がいるが、176センチ100キロでBMIは32.3だ。澤田もこの体型で人気が出るかも知れない。
(※BMIは体重と身長の関係から肥満度を示す体格指数)
オリックスの最近の1位指名の選手はよく活躍している。安達了一(2011年)、松葉貴大(2012年)、吉田一将(2013年)、山崎福也(2014年)、吉田正尚(2015年)という顔ぶれだ。
今年の山岡にも期待がふくらむ。また、新しい戦力が育って、チームの勝利に貢献することを期待せずにはいられない。
文=矢上豊(やがみ・ゆたか)
大阪在住の山本昌世代。初めてのプロ野球観戦は、今はなき大阪球場での南海対阪急戦と、生粋の関西パ・リーグ党。以来、阪急、オリックス一筋の熱狂的ファン。プロ野球のみならず、関西の大学、社会人などのアマチュア野球も年間を通じて観戦中。