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《巨人・大補強》補強の本気度と順位はリンクする? FAで2選手を獲得した翌年の成績を独自検証!


 FA、トレード、外国人補強などあらゆる手を使って国内外から戦力を集めている巨人。

 もちろん今年のFA戦線でも抜かりなく、森福允彦(ソフトバンク)と山口俊(DeNA)の契約が完了。さらには髪を黒く染めた陽岱鋼(日本ハム)の獲得も秒読みで、来季への本気度が伺える。

 巨人は今年だけでなく、過去に7回、1年で2人のFA選手を獲得しているが、その翌年の成績はどうだったのだろう。

 今回は過去のFA選手の顔ぶれから補強における「獲得本気度」を探り、その成功具合(「成績リンク度」)を、筆者の独断による「◎」「◯」「△」の三段階で評価してみたい。

※以下、カッコ内は移籍前の在籍チーム

川口和久の大誤算で3位に沈む


1994年のFA獲得選手:川口和久(広島)、広沢克己(ヤクルト)
1995年の結果:3位

 FA制度が導入された2年目にあたる1994年オフ、巨人は川口和久(広島)と広沢克己(ヤクルト)を獲得。

 1995年に広沢は20本塁打、72打点と及第点の成績を残すも、川口が4勝6敗と大誤算。奇しくも広沢が抜けたヤクルトに10ゲーム差を付けられて3位に沈んだ。

 ちなみに1994年は、トレードで阿波野秀幸(近鉄)を、外国人助っ人としてマック(ツインズ)を獲得するなど、今年と似たような形で補強をしていた。

FA選手獲得本気度:◎
FA選手成績リンク度:△


FA補強成功のお手本のような年


1999年オフのFA獲得選手:工藤公康(ダイエー)、江藤智(広島)
2000年の結果:リーグ優勝、日本一

 1999年オフ、巨人は江藤智(広島)と工藤公康(ダイエー)をFAで獲得。

 江藤が広島で背負っていた背番号は「33」だったが、当時、巨人の背番号「33」は長嶋茂雄監督が背負っていた。しかし、長嶋監督は背番号「33」を江藤にプレゼント。こうして長嶋監督のユニフォームには25年ぶりに背番号「3」が復活となった。

 それだけに2000年は負けられないシーズンとなった。そんな優勝への重圧をものともせず、江藤が32本塁打をマークすれば、工藤も12勝5敗としっかり活躍し、期待に応えた。既存の戦力と噛み合ったことで、2位の中日に8ゲーム差をつけての優勝を決めた。そして日本シリーズでは工藤の古巣・ダイエーとの「ON対決」を制して日本一を達成。

 巨人の熱意にFA選手が見事に応えた格好で、本気度・貢献度ともに文句なしの「◎」だろう。

FA選手獲得本気度:◎
FA選手成績リンク度:◎


巨人のプレッシャーに押された?


2005年オフのFA獲得選手:豊田清(西武)、野口茂樹(中日)
2006年の結果:4位

 2005年オフ、Bクラスでシーズンを終えた巨人は大補強を敢行。FAでは豊田清(西武)と野口茂樹(中日)を獲得した。

 しかし、クローザーとして期待した豊田は度重なる救援失敗で中継ぎに降格。野口は1軍で1試合にしか登板せずシーズンを終えた。

 期待のFA組がこれでは2年連続Bクラスもやむ無し。2006年も4位に沈んだ。成績リンク度は限りなく低い「△」である。

FA選手獲得本気度:◯
FA選手成績リンク度:△

ガッツが生まれ変わらせた盟主の打線


2006年のFA獲得選手:門倉健(横浜)、小笠原道大(日本ハム)
2007年の結果:リーグ優勝、CS敗退

 2006年オフは門倉健(横浜)と小笠原道大(日本ハム)をFAで獲得。門倉が1勝5敗と誤算だったが、江藤以来のFAで獲得した打者・小笠原が「3割・30本(打率.313/31本塁打)」を達成するなど大活躍。それにより1番に高橋由伸が入る強力打線が誕生した。

 2007年はクローザー・上原浩治などの配置転換の成功もあり、2年連続Bクラスを抜け出し、5年ぶりの優勝を達成した。

 ただ成績リンク度は小笠原のみの活躍なので「◯」止まり。

FA選手獲得本気度:◎
FA選手成績リンク度:◯


足りないピースを埋めた結果


2011年のFA獲得選手:杉内俊哉(ソフトバンク)、村田修一(横浜)
2012年の結果:交流戦優勝、リーグ優勝、日本一、アジアシリーズ優勝

 2006年に小笠原と門倉を獲得して以降、ほとんどFA選手に手を伸ばしていなかった巨人。だが、2年連続シーズン3位で終わった2011年のオフ、5年ぶりに2名のFA選手を獲得した。

 正三塁手不在の穴を村田修一(横浜)で、コマ不足の先発陣の穴を杉内俊哉(ソフトバンク)で埋めた結果、2007年は交流戦からアジアシリーズまで獲れるタイトルをすべて獲りきった。

 村田はホームランがプロ入り最低を更新してしまったが、シーズン通して三塁を守りきったところを評価したい。本気度・成績リンク度ともに「◎」。

FA選手獲得本気度:◎
FA選手成績リンク度:◎


3連覇は果たしたけれど……


2013年のFA獲得選手:大竹寛(広島)、片岡易之(現・治大/西武)
2014年の結果:リーグ優勝

 2014年はリーグ3連覇と球団創設80周年が重なっていたこともあり、是が非でも勝ちたい年だった。それだけに気持ちの入り方も大きく、2013年オフに大竹寛(広島)と片岡易之(現・治大/西武)を獲得し、万全を期した。

 結果的には3連覇を達成したが、2000年の江藤や工藤、2012年の杉内や村田ように大竹と片岡がそこまで機能していたかというと疑問符もつく。

FA選手獲得本気度:◯
FA選手成績リンク度:△


「一塁・阿部」プロジェクトへの貢献


2014年のFA獲得選手:相川亮二(ヤクルト)、金城龍彦(DeNA)
2015年の結果:2位

 V9以来のリーグ4連覇に挑んだ2015年に向けて、2014年オフにも2名のFA選手を獲得。阿部慎之助の一塁手転向により手薄になる捕手陣のテコ入れに相川亮二(ヤクルト)を、外野のサポートメンバーとして金城龍彦(DeNA)を獲得した。

 相川は度重なるケガで離脱しながらも、復帰した際は「一塁・阿部」プロジェクトにおけるキーマンとして活躍。この貢献度を評価して、成績リンク度は「◯」としたい。

FA選手獲得本気度:◯
FA選手成績リンク度:◯


単純に考えて日本一確率75%


 まとめると、筆者的にFA選手獲得本気度が「◎」と感じられたのは7年中4年。その4年のうち3年で日本一になっているわけだから、本気度「◎」に対しての日本一になる確率は75%。やはり補強の本気度と順位はリンクしている。

 もちろんコケる可能性もあるが、このオフの動きを見ていると、来季もセリーグ優勝争いの最右翼にいるのは巨人だと思わざるをえない。

「優勝はお金で買える」のか? まだ続くであろうFA戦線での巨人の動向から目が離せない。


文=森田真悟(もりた・しんご)

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