まずは、先発ローテーションを見ていきたい。入団以来、エース格として奮闘する小川泰弘、残留の決まったブキャナンは確定だろう。また、3年目の原樹理も加わってくるはずだ。2年目の星知弥にも期待したいが、疲労骨折し、手術を受けた右ヒジの状態次第だろう。焦らずに復帰してきてほしい。ここから先は名前こそ候補に挙がるものの、確実にローテーション入りという投手はおらず、競争となる。
来季は3月30日に開幕した後、2週連続で6連戦が続く。そのために開幕早々から先発投手は6人が必要。外国人投手の補強がなければ、残り2枠(星が開幕に間に合わなければ3枠)を争うのはベテランの石川雅規をはじめ、中6日で1年間ローテーションを守ることを目標としている由規、アンダースローの山中浩史、無償トレードで加入した山田大樹が候補となる。また、今季終盤に先発として起用された岩橋慶侍にもチャンスがありそうだ。
その次には、ドラフト2位の大下佑馬(三菱重工広島)、8位の沼田拓巳(石川ミリオンスターズ)らの名前が続く。ただ、このように名前を挙げるだけでよいのならばポンポンと出てくるのだが、実際に勝ち星がつくのかはまた別の話だ。とくに新人選手の実力は未知数。キャンプ、オープン戦の結果を見て判断することになる。
中継ぎ陣も先発陣同様に空いている枠が多い。小川淳司監督は秋吉亮をセットアッパーで起用する構想を持っているため、クローザーが不在だ。思えば、1年前もこの時点でクローザーは決まっていなかった。そう考えると、ヤクルトにとっては自然なことかもしれない……。しかし、クローザー不在が直接的な原因ではないといえ、その結果が最下位である。要のポジションが決まっているにこしたことはない。
来季も近藤一樹、松岡健一、石山泰稚らが6回、7回の中盤を担う形は大きく変わらないはずだ。変化があるとすればここに、ドラフト3位の蔵本治孝(岡山商科大)が加わるくらいか。中継ぎ左腕は村中恭兵、中澤雅人、久古健太郎、成瀬善久らがいるものの、絶対的な存在は不在。また、ロングリリーフ枠の山本哲哉も盤石ではない。このように中継ぎ陣は、クローザー、ロングリリーフ、ワンポイントでの起用を含めた左腕が不在……つまり、ほぼ空席といっていいだろう。
加えて、外国人選手の去就によっても陣容は変わってくる。現時点ではブキャナン、そして野手でバレンティンが残留。そのほかの外国人選手に関しては公式な報道はない。今季、守護神、セットアッパーを務めたルーキは退団が濃厚。ギルメットの去就は外国人選手の獲得状況による、といったところだろうか。近年の編成を見る限り、中継ぎの1人は外国人選手で埋めるはずだ。その未知なる戦力がクローザーとなる可能性が高い。
最下位に沈んだチームだけに、迫力不足だった打撃陣だけでなく、投手陣も整っていないのが現状だ。裏を返すと若手をはじめ、多くの投手にチャンスがあるということでもある。寺島成輝、梅野雄吾、高橋奎二といったプロスペクトたちが2軍で結果を出し、1軍で「お試し」ではなく投げる日が近いかもしれない。
文=勝田聡(かつた・さとし)