楽天、ヤクルトの全試合ハイライトシーンを絵にしてきた男、ながさわたかひろが野球を描くワケ〜第1回
◎力になりたい! 楽天とヤクルトを描いてきた
3月に入り、いよいよ野球シーズンを迎えました。WBCが盛り上がるなか、開幕を間近に控えたプロ野球。2017年シーズンをスペシャルなものにすべく、いま、ワタクシ、絵描き・ながさわたかひろは奔走しております。
で、アンタいったい誰よ! と突っ込まれる前に、僕の活動について少しお話しします。僕は、2009年の東北楽天ゴールデンイーグルス、2010年から2015年までは東京ヤクルトスワローズの全試合を絵にしてきました。
試合を観て、描くことでチームの戦力になろうと思っています。プロ野球ファンなら誰しも好きなチーム、好きな選手を応援しますよね? それは決して自己満足のためではなく、そうすることで自分も力になりたい、力になる! と信じているからではないでしょうか。
僕は、プロ野球は「スタンドの声援ありき」と考えています。そして、それは試合の勝敗を左右する大きな力を持つものだと思いたいんです。個人的なジンクス(自分が観るとチームが負けるから観ないとか、そういう愛らしき本末転倒も含めて)だって、なるほどそうかもしれません。
そう考えるとプロ野球はもっと面白くなるし、そうすると自身の生活にも張りがでます。今日この仕事を頑張ればチームは勝つ! 頑張ったらナイターで美味しいビールが飲める! とか、何しろプロ野球はほぼ毎日、決まった時刻に試合があるわけで、のめり込めばのめり込むほど、真剣になればなるほど規則正しい生活が送れるようにもなりますからね。
「プロ野球画報 No.19/東北楽天編」(2009)銅版画
「プロ野球画報2015 No.141/東京ヤクルト編」(2015)ペン、色鉛筆
自分なりの戦い方があるはず!
ちょっと飛躍しますが、日本の高度経済成長を支えたのはプロ野球(“巨人”と言い換えてもいいかもしれません)に違いありません。ですよね? 当時、日本文化の根幹をなしたとも言えるプロ野球。しかし、昨今は地上波でのテレビ中継がなくなり、その結果、プロ野球を観たことがない、興味がないという人が増え、野球を楽しむ人の数が減るのと比例するように、日本の社会全体の活力も萎えました。いけない、なんとかしなければ! そこで僕は立ち上がりました。
僕は、まずその間口を広げるべきと考えました。こんな楽しみ方、こんなアプローチはどうでしょう、そしたらこんな結果につながったよ、そんな具体例を示したいと考えています。
ファンの一人一人が自分なりの楽しみ方を見つけ、各々それを発表しだしたら、なんだか面白くなりそうです。これまで全く興味がなかったという人だって、それを目にすることでプロ野球の面白さに気づくってことがないとも限りません。
僕は幼少の頃、少年野球で万年補欠でした。下手くそだったんです。でも、たとえ試合には出られなくても、チームの一員です。ならば自分なりの戦い方があるはず! そう思ったことが原点です。
試合の絵を描くことがみんなの力となり、みんなの、明日の勝利につながるかもしれない。そして、それはプロ野球も同じこと。いや、プロ野球こそがそれを受けとめる大きな器であると信じています。
僕は絵で戦力になろうとしています。応援と言い換えてもいい。さて、アナタならどんな方法でチームを応援しますか? どんな方法で戦いますか?
プロ野球画報とながさわたかひろ
ロッテ選手のポスターを手渡すことから始まる今春
ワタクシ、じつは昨年から千葉ロッテマリーンズの試合を描き始めています。昨シーズンの終了時、その絵を元にロッテの選手が並ぶポスターを制作しました。この春は、それを各選手にお渡しするところから始めようと、今それを持って奔走しております。こういうカタチで応援しています! と伝えたいんです。そしてそれを何らかの力に変えてもらいたいと思っています。
僕の活動を、これから3回に渡って紹介、というかご報告します。皆さん、どうぞ最後までお付き合い下さいませ!
「プロ野球画報2016/千葉ロッテマリーンズ選手ポスター」
(2016)オフセット印刷/59×42cm
文=ながさわたかひろ
ながさわたかひろ
1972年生まれ。第13回岡本太郎現代芸術賞で特別賞を受賞。試合を描くことが「応援となり、それがチームの戦力になる!」というモットーのもと、2010年から6年間に渡りヤクルトの全試合をイラストで描き続ける。著書に「プロ野球画報2015 東京ヤクルトスワローズ全試合」(雷鳥社)、「に・褒められたくて 版画家・ながさわたかひろの挑戦」(編集室屋上)などがある。
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